決算発表が本格化しており、今回の傾向がやや見えてきましたね。概ね四半期ベースでの改善、そして、期待通りに通期見通しを増額修正する企業もありますが、予想を出さないところ、従来予想を据え置きとするところ、まちまちでしょうか。現在のところ、据え置きとするところが多いようなイメージです。通期予想を増額修正するというシナリオが期待されていましたので、そういった意味ではやや慎重姿勢といえるでしょう。四半期ベースでの改善というのは、今回は7-9月期の決算発表ですから、4-6月期に対して改善傾向だということです。
 今後、下方修正が多くなってきたり、通期増額修正を見送るケースが多くなってくると期待が剥げ落ちてくるケースも考えられますが、そんなに単純なものでもないと思います。  
 逆に、将来に増額修正余地を残すことになるのでは・・・と思います。外部環境からすると根拠は薄いですが、期待感がない分、将来のボラティリティが大きくなる可能性があるということです。足元はちょうど米経済指標などの悪化で、マーケットは売り優勢となっていますが、当面はマクロ経済指標の落ち着きを待つまで、その辺見極めづらいんでしょうね。

 あたりまえのように、前年同期と比べると大幅減益といった状況です。よほどその企業に毎年季節性の業績の波が同じようにあるのであれば、前年比で比較するのも意味はあると思いますが、昨年から急激に落ちこんだあとですから、四半期ベースの改善をじっくり見るときでしょう。通期増額修正として一気に好材料が出きってしまうよりも、据え置きにして、あとあとになってから、再度、増額修正としたほうが着実に伸びている感じもします。きっと、経営者も株価を意識するようになったかも?
 逆に、経営者の先行き危うい、といった感じ方の方が適切かもしれませんが、株価が2007年に天井をつける直前まではどこもかなり強気でしたよ・・・・。
 最近、新聞の業績欄を読んでいると、何となく感じることですが、悪いなりにも企業の対応が実に早くなったと感じます。悪かったといった結果公表だけでなく、そのあとに構造改革費用だのコスト削減の徹底だので、早め早めの対応を意識しています。バブル崩壊後の失われた十何年間?よくわかりませんが、景気回復任せのような受動的な業績改善期待ではなく、能動的に業績の改善を急ごうとする経営者の姿勢が私には強く見えてきます。「ザ・にっぽん株式会社」はバブル崩壊後の経験則が今になって学習効果として出てきているのでしょう。
 また、統合話も出てきていますが、今後はさらに多くなってくると思います。悪くなったら、速攻、生き残りをかけて連携を強めるようになってきた。昔の日本では考えられないでしょう。不思議でしょうがないですが、建設とか銀行もそう、まだまだ社数が多いと思いませんか。
 株式運用も今やグローバル運用です。企業も合併で大きくなっていかないと、グローバル競争に勝てないでしょうし、小さいままだと誰も株を買おうとしない。新規上場企業も少なくなる傾向にありますし、会社四季報の厚さにも限界に来ているのでは?
 昨今、出来高低迷から東京株式市場の空洞化が懸念されていますが、バブル崩壊やリーマンショックを経て、大きく変化する境目なのかもしれませんね。
 しかし、昨晩のNASDAQの下げ方(2.6%下落)を見ていると強気もややトーンダウンしてきます。9900円から9700円処で止まって欲しい・・・。しかし、9400円処まで下げても3月安値から8月高値までの上昇に対する38.2%程度の下げで済むということですから、足元の下げの範囲で収まればそんなに大したことはないということです。
 以前、お話したことがありますが、日経平均は2003年の安値以降の上昇パターンとよく似ています。200日移動平均線(28日現在9227円)とのかい離は一旦縮まなければいけません。上に伸びたバネは一旦縮まなければまた伸びない。下がっているときは弱いものがもっと弱く見えてくるものです。

東野幸利
株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ

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