先週は休載させていただきました。今週からまた気合を入れて頑張っていきます。

 今回のテーマは第三回で書いた「もうはまだなり」を逆さにして、「まだはもうなり」としました。第三回「もうはまだなり」の中では、長期的観点からの循環物色のお話を一部させていただきました。昨年までは鉄鋼、化学、非鉄、商社、造船、海運セクターが先導役になった。だから今年は銘柄が変わる年。でも、ハイテク・通信・インターネット株に手が移るのはまだ先かな・・・・、などと書いたわけですが。最近、一部のハイテク株の動きが変わってきましたね。

 ハイテク・通信・インターネット株はIT相場でかなり上昇して、そこからまだ7年程度しか経っていないために日柄調整が済んでいないかと思ったのですが、鉄鋼、化学、非鉄、商社、造船、海運セクターが苦しんでいた90年代と違って、2003年以降は株式市場の環境は良かったわけですから、それを割り引いて考えねばいけません。富士通の急伸やNTTのストップ高、今日のソニーの動きもそうですね。どういう性格の買いかといいますと、もちろん比例配分狙いの買いも多数含まれますが、「あ、やっぱり上がったね~」、「安いからいつ買うか迷っていたところだったんだよ」、「今まで安値圏にいたからね~」なんて思っていた人は買っていません。当然、機関投資家も同じ発想です。大きな資金を運用しているだけで、投資家心理は共通していますからね。

 私は今でも鮮明に映像として頭に中にある風景が忘れられません。昨日のCNBCのテレビでも一言コメントしましたが、バブル崩壊後の低迷相場から、1993年に総合デジタル通信網(ISDN)が突如、相場のテーマになったときのことです。1991年に入社した私にとっては上昇相場など知るよしもなく、チャートは右肩下がりか、底値で横ばいが精一杯の状況でした。それ以外の銘柄は見たことがないといった感じでしたが、当時NTTのストップ高に続き、NECが動きだしました。その瞬間にある先輩(いつも話の中に出てくる尊敬人)が低迷相場からローソク足が一本立ち(長い陽線を一本形成)するとともに、大口の買い注文を入れたのを思い出します。記憶が定かではないのですが、その後小さな動きを抜きにすれば、2000年のIT相場の天井3450円まで1993年安値601円を切ることはなかったですね。

 時間軸を長く置いた場合、瞬間的に日足で大きく上昇しているように見えても、あとで見れば月足で数ミリ程度の動きでしかありません。
 現状の相場の一点を見るとすれば、NTTや富士通、ソニーなどの急伸ですが、その今の動きが将来見たときに、「あの時の上げは、今見ると大したことないな~」となっていればいいわけです。

(株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ 東野幸利)

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