銘柄を選択する場合、業績動向はもちろんのこと、株価の位置の確認をしますよね。株価の位置確認には、チャートを見るなどの方法がありますが、どのくらいの期間軸をおいて目標株価を推測するのか。また、それを推測するためにどの程度の過去の動きを参考にするかは、それぞれ考え方があると思います。
 以前お話したことがあるかもしれませんが、私の方法はなるべく数多くの銘柄を見て、大体、70年以降あたりからのチャートを見ます。とはいっても期間が長いので、月足でなく、年足でもいいと思います。そこで日足を見ている観点から、目先上がりそうだと思う銘柄をピックアップします。70年代以降のチャートになりますので、どんな形かと言いますと、バブル高値をつけて下落基調が続きまだ安値圏を脱し切れていない銘柄か、バブル高値以降高値圏でもみ合っている銘柄、この2種類になるでしょう。  
 どちらを選びますか。さまざまなご意見があると思いますが、私は後者を選びます。高値でもみ合っている銘柄ですね。ただ、年足や月足を日足に見立てて判断しているため、それが当たったとしても、期間軸を相当長くおく必要があります。

 全体が大きく下落している中で、高値でもみ合っている銘柄って、「強いね〜」。それだけですか?こんな経験をしたことはないでしょうか。高値でもみ合って「強いね〜」といいながらも、見るのはその場で終わってしまって、しばらく経ってから大きな材料が出てきた、というやつです。それは見逃してはいけません。
 70年代から上昇を続けて、バブル高値以降もみ合いを続けている銘柄は、実は中段もみ合いで、まだまだ上昇する可能性があるかもしれません。株価から将来を読み取ります。そういった銘柄には後々、材料が付いてくるものです。
 例えば、私が昨年12月1日に購入した2007年11月までの株価が掲載された月足のチャートブック。それで当時チェックした中で、株価が伸びきってしまって、この先どうか・・・と思い、チェック銘柄が少なかったセクターが輸送用機器のところです。自動車ですね。一方で、意外と多かったのがハイテクセクターです。ただ、ハイテクセクターといっても、さまざまな種類があります。完成品メーカーから部品メーカー、完成品といってもデジタル機器から製造装置、公共機関で使われるような機器など。また、電力関連や半導体専業など・・・。個性があってわかりやすいセクターであるだけに、過去の株価の動きはバラバラです。

 話はそれますが、船株がいいときは、海運セクター全体が上昇します。A社、B社、C社があって、A社に好材料が出れば、B社、C社の内容をよく知らなくても連想で買われます。といいますか、なかなかそれぞれの特徴を言える投資家は少ないでしょう。鉄鋼株も一緒です。造船、商社なんかもそうでしょう。だから過去の動きはよく似た動きになりやすいのです(私の持論)。

 話しを戻しますと、意外と多かったのがハイテクセクターです。昨年12月に年足でチェックし、今年の2月時点で結果が出ているはずはないのですが、個別で言いますと、富士フィルムホールディングスなんかはそうではないでしょうか。年足で下値切り上げのもみ合い。日足だったら直ぐに買いたくなるような足でした。何か出るなと、チャートブックに付箋を貼り要注意だったのですが、医薬事業に参入のため、富山化学に対するTOBを発表しました。また、昨日、あるテレビ番組で分析した松下電器産業なんかもそうです。私の地元企業なので愛着もあるのですが、成熟企業の代表銘柄です。ただ、成熟企業であるがために今後新たな分野に進出しなければ成長評価はされません。企業ベースでも当然考えていることですね。

 あるエコノミストが言っておられたのは、昨年からの株価の下落が信用収縮による株価の投げ売りであるのならば、資金繰りが一時的に悪化しただけであり、それはいずれ解消される。米国の住宅価格も下落しているものの暴落はしていない。所得は前年比で上昇しており、消費が大きく減退することは考えられないと。私も全く同感でした。
 NYダウは、ITバブルの高値をサポート(下値支持)に教科書通りの反発となっています。少し長いチャートになりますので、直接見られた方はあまりいないと思いますが、ITバブルの2000年高値と今回の安値を結んでみてください。ほぼ、水平の線が引けると思います。月足であれ日足であれ見方は同じ。理由が何であろうと、ここまで下がる余地はあったということ。米国株がこの先上昇を継続するのであれば、日本株は買いなのでしょう。バブル高値以降の下落から、安値圏に放置されている銘柄は割安に見えますが、70年代から上昇し高値でそのままもみ合っている銘柄と比較した場合、どちらを選びますか。

(株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ 東野幸利)