これまでに歴史的時代の転換点を感じたことはありますか。もちろん、就職や結婚、出産など人生における転換点ではなく、100年サイクル、200年サイクルといったスーパーサイクル的観点からの時代の転換点です。人間の寿命が85歳前後ですから、人生の中でそうそう感じるものではありません。
 先日の社内勉強会での講師の方が言われていたのですが、今年は世界的に大きなイベントが多く、特に国際政治に関しては、「ニューフェイス」、「ニューポリシー」がキーワードですと・・・。
 要するに、今年は米国を中心として国家のボスが結構変わるんですね。そうすると、各国間のやり取りがずいぶんと変わります。特に米国では、オバマさんが大統領に!となると、これは一昔だったら全然想像もできなかったことですし、よく考えれば米国にとっては大変な時代の転換点となります。

 一方で、資本市場ではどうでしょうか。例えば、資本提供者が現在の米欧を中心とした先進国から、「BRICs」と呼ばれる新興国や産油国に立場が大きく逆転するとしたら、どうでしょうか?これは、大きな時代の転換点だと思いませんか。この発想は、現在の株式市場で誰が買って、誰が売っているのかを考えれば、何となくイメージできます。そうだとしたら、今回の下げが、よく言われる最後の買い場か?
 昨年から今年にかけての不動産株一つとっても、ここまで早く大幅に調整するケースなどないですよ。景気減速、景気後退のイメージは少し程度は認識していますが、ここまで株価が売られるほど、現段階で感じることはできません。株価には先行性があるにしても下げが早すぎます。誰が売っているのでしょうか。間違いなく、欧米の外国人投資家です。どんな外国人でしょうか。
「・・・ファンド」、「・・・マネジメント」などの冠を付した外国人です。信用構造で実際の運用資産ではなく、それをもとに想像できないくらいの想定運用元本を運用する外資系の「・・・ファンド」です。その想定元本がどれだけあるか理解不能ですが、その莫大な”信用構造“が崩れたらどうなるでしょうか?そうです、信用収縮ですよ。その影響が世界の株式市場にこれだけの影響を及ぼすのです。信用収縮でもない限り、株式市場がここまで早いスピードで下げることはありません。

 2003年に日経平均が安値をつける過程では、日本の機関投資家が売りの最大の要因でしたが、今回は、値段関係なく売り叩いてくる外国人でしかないでしょう。日本の機関投資家はこんな売り方しませんからね。そして、個人投資家さんの追証の投げなどはとっくに終了していて、足元の下げで大きくポジションを変更させられたのは機関投資家の方ではないでしょうか。仮に買い値から大きく下落し、強制的に売却しなければいけない状況だとしたら、それはいずれ買い戻されます。相場の格言に「三割高下に向え」という言葉があります。まさにそうです。三割下落で強制的に売らなければいけないのであれば、直ぐに値ごろ感や割安感が発生するため、買い戻すでしょう。だから「三割高下に向え」なのですね(笑)。

 最近の乱高下で市場関係者はお疲れの模様でございます。私は家に帰ってもディーリングルームさながらに、海外マーケットをウォッチし寝不足続きで困っています。また、こういったときというのは、時の流れがゆっくりと進んでいるように感じますね。
 さて、会社四季報にのっている過去の高値安値は、実際はそのほとんどが瞬間にしかつきません。よく言われる、上にも下にも万人の考えが同一方向に偏った極値、「ワンティック新値」なのです。あと数年たってから、遠目で今の相場跡をみる機会があったときに思うのでしょう。今回の株価急落局面がほんの一瞬の出来事だったこと、そして時代の転換点であったと振り返るような気がします。

(株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ 東野幸利)