2025年新年相場の特徴が早くも見えてくる
12月相場が始まりました。波乱の2024年もあとわずかです。
年内最後の月となる12月は、新しい年を先取りしようと物色テーマの芽や兆しが見え隠れするものです。単なる「12分の1」の月ではなく、やはり特別な雰囲気があります。2024年の締めくくりはどのような展開となるのでしょうか。
この2週間ほど相場の流れを見ていると、新年相場の特徴がいくつか早くも見えてきたように感じられます。
2025年相場は「中・小型株」の動きが活発になるように思います。2025年に起こりうる経済状況を考えると、「中・小型株」が一般に持っている以下のような特性から、今まで以上に注目されるのではないでしょうか。
(1)「中・小型株」は内需系企業が多い(為替相場の影響を受けにくい)
(2)「中・小型株」は金利低下局面に強い(米国で政策金利の引き下げが始まった)
(3)「中・小型株」は業績の振幅が大きい(景気が好転する時に増益幅が拡大する)
(4)「中・小型株」は政策保有株の売却が少ない(大型株はそれが多い)
特に注目したいのが(4)の「中・小型株」は政策保有株の売却が少ない、という点です。逆に言えば大型株にはそれが特に多いように見られます。
政策保有株の売却ラッシュに直面する日本企業
現在、日本の上場企業の多くが政策保有株の売却ラッシュに直面しています。損害保険会社や銀行などの金融機関を中心に、保有する大量の政策保有株(いわゆる持ち合い株式)が市場で継続的に売却されています。
東証が求める資本コストを意識した経営改革の一環として、上場企業は政策保有株の売却を急いでいます。それが売却される側の企業の株価を押さえていると見られます。
企業自ら自社株買いでそのような売り物を吸収することも可能ですが、どれほどまとまった自社株買いを実施しても政策保有株の売りの方が大規模で、多勢に無勢といった様相です。
いずれどこかの時点で政策保有株の売りも尽きることになるでしょうが、それまでは相当の売りニーズがひそんでいることを投資家は意識させられそうです。
「中・小型株」は、企業規模が小さい分だけ政策保有株の売りプレッシャーは小さいと見られます。創業者やその姻戚関係者が大株主であるケースも多く、それも売り圧力が小さくなる要因と見ることができます。
業績の良し悪しが株価のパフォーマンスに影響するのは当然として、来たる2025年相場では売り圧力の小さい中・小型株の活躍が期待できるのではないでしょうか。
今回は業績のよい内需系の中・小型株をいくつかご紹介します。
2025年相場で活躍が期待できる中・小型株4銘柄
セイコーグループ(8050)
腕時計の「セイコー」。国内ではトップクラス。フラッグシップブランド「グランドセイコー」がインバウンド人気に沸き、ほかにも「プロスペックス」「アストロン」「プレサージュ」「ルキア」などのブランドを持つ。腕時計で培われた精密加工技術の応用で、電子部品、工作機械、センサーモジュール、二次電池にも展開する。前期に続いて今期も大幅な経常増益の見通し。創業家の服部家が大株主。
鴻池運輸(9025)
国内物流を手がけるところから事業を始めて、鉄鋼メーカー、飲料・食品メーカーの工場内の物流や国際物流、地方空港の地上業務(グランドハンドリング)までをバルクで幅広く請け負っている。冷凍・冷蔵輸送にも独自研究の成果を活かして参入。食品メーカーが値上げ効果により収益が好調で、物流費の引き上げが受け入れられやすくなる。製造拠点の分散化から得意先が新拠点を開設しており、その分輸送量が増え業績も好調持続。
美津濃(ミズノ)(8022)
野球のボール、シューズ、グラブの製造から始まって、ゴルフ、水泳、陸上、柔道、バドミントン、ランニングまで幅広いスポーツ用品を供給するミズノ。オリンピック級のトップアスリートから中学・高校での部活動まで広くカバーする。コロナ過で中断されていた部活の復活で収益は急回復。高齢化の進展が最大の問題とされるわが国において、自分の体調は自分で管理する「元気で長生き」が欠かせない。若者向けストリートファッションにも重点を置き、スポーツ用品市場は一段と拡大。
トライアルホールディングス(141A)
グロース市場に上場。九州を地盤とするスーパーセンター、ディスカウント店。「エブリデイ・ロー・プライス」を地で行く大型店を全国で展開する。安いばかりでなく品質も重視。「全国スーパーマーケットおいしいもの総選挙2024」という品評会において、同社の総菜パン「たっぷり玉子サンド」(199円)が金賞を受賞。全国で320店を展開し、7-9月期の3ヶ月間だけで8店の新規出店を果たした。いま最も伸び盛りの小売業態。