“バケ線は一本と知るべし”バケ線は相場の下落トレンドにおいて、突如と出てくる陽線のこと。多くはデマなどで出現するため、酒田戦略では「逆向かいを可とする」とある。底入れの決定線ではなく突然イレギュラーに出現する。しかし、このバケ線が出ると、その後の下値は意外と浅いという。
まさに、今月20日の日本株がそうであったのではないかと思います。FRBの緊急利下げがあるのではないかと噂になっ て、後場から急速に買い戻されたときですね。そんなの日本人が先にわかるわけがないじゃないですか。窮地に追い込まれた人間心理を操ったデマですよ。その翌日の21日、日経平均は20日の上昇分をほとんど帳消しにしました。そして、今日は米国株の大幅反落から売り先行と思いきや、やや売り優勢のあとは切り返す動きになっています。下値は意外と浅いのか・・・。私は仕事の関係上、日経平均先物の値動きを毎日追っていますが、今日は後場寄りからマド(空)を明けて上昇していますよ。
まだ、大引けを迎えていませんので結果はわかりませんが、5日移動平均線が今日はまだ下向きになっているので、昨日の陰線を上回る勢いはないでしょう。昨日の終値から安く寄り付いて、陰線の中で終了する、所謂、差し込み足になる可能性があるでしょうね。実は、さきほどの20日のバケ線は前日の陰線に差し込んだ形になっているので、20日も差し込み足になっているのです。私が勝手にそう思っているのかもしれませんが・・・。
強そうに見える陽線の足ですが、一般的には下げ足(下げトレンドのなか)の差し込み足は追撃売りの急所とされています。今日もこのまま終了すると差し込み足となってしまいますがどうでしょうか。でも2回目は解釈が異なるそうです。“差し込み足は売りの急所とされているが、それが数日おいて再現したときは売りの急所ではなく、ドテン買い越しになる”だそうです。ただ、本格的な上昇に入るということではなくて、中間反騰に入る前の折り返し地点のイメージの方が強いとされています。
それと、今日後場から上昇した理由を考えてみると、20日に流れたFRBの利下げデマがあったせいで、8月急落時の相場反転のきっかけとなった緊急利下げのパターンを売り方に思い起こさせてしまったのではないかと思います。8月の利下げの発表も金曜日の東京市場が終わったあとのことでしたし、今回も日本は明日から三連休、今晩は米国市場は感謝祭で休場、その次は半日取引と、イレギュラーな日程を控えて、売り方の買い戻しが入りやすかったのかもしれません。20日のデマのおかげで、今日の上昇があったように思うのは私だけでしょうか。密かにそう思っています。
(トレーダーズ・アンド・カンパニー 東野幸利)