ここにきて、ユーロ/ドルの下落基調が一段と鮮明になってきています。 先週18日には一時的にも今年6月5日安値=1.3503ドルを下抜ける場面があり、後に一旦は1.3549ドルまで値を戻す展開となるものの、昨日(22日)は先週18日安値=1.3491ドルを下抜け、さらには今年2月3日安値=1.3477ドルまでをも下抜けるという、少々まとまった下げに見舞われることとなりました。

振り返れば、ユーロ/ドルは今年5月8日に一時1.3993ドルまで上伸し、ほどなく下げに転じてからは一気に今年4月4日安値の水準を試す展開となりました。その間に、まずは13年7月安値や今年2月安値を結ぶサポートラインを明確に下抜け、その時点で12年7月安値を始点とする5波構成の強気相場が今年5月8日につけた高値で終了したとの感触が得られることとなったわけです。

その後、一旦は今年4月4日安値の水準あたりでもみ合う場面もあったものの、5月下旬になると同水準をも明確に下抜け。本欄の今年5月28日更新分で述べたとおり、今年4月4日安値水準をネックラインとする「ダブル・トップ」の転換保ち合いパターンが完成することとなり、さらに重要な200日移動平均線(200日線)をも下抜ける展開となったことで、その後は「ある程度まとまった下落となる可能性が高い」と見られていました。

本欄では、このダブル・トップが完成した時点で後の下値メドの一つとなり得るのは「ダブル・トップを形成した今年3月13日高値&5月8日高値からネックライン水準までの下落幅と同じだけネックライン水準から下方に位置する水準」と考え、それは「今年2月3日安値をも下回るということ」であると想定してきました。そして案の定、昨日のユーロ/ドルは同水準をも下抜ける動きとなったのです。

下図でも確認できるように、前述した「下値メドの一つ」というのは1.3400ドルを少々下回る水準のことであり、同時に週足の一目均衡表における週足「雲」の下限水準付近の水準でもあります。現在、その週足「雲」下限は1.3320ドルあたりに位置しているわけですが、9月初旬あたりには1.3550ドル台にまでせり上がってくることがわかります。

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上図でもあらためて確認できるように、ユーロ/ドルの週足ロウソクは、先週ついに週足「雲」上限を下抜ける動きとなりました。加えて、週足の「遅行線」は今後週足ロウソクを明確に下抜ける動きとなる可能性が強まっているものと思われます。過去の推移を振り返ると、この週足「雲」は要所、要所で重要な節目となっていることが確認でき、ひとたび週足「雲」のなかに潜り込んだからには、その下限水準をいずれ試す展開となる可能性が高いものと見られます。

もちろん、その週足「雲」下限水準は強い下値サポートとして機能する可能性が高いと見られるわけですが、それだけに同水準をひとたび下抜けるような展開となった場合、そこからの下げには一段と拍車がかかりやすくなるものと見られ、当面は週足チャートを怠りなくチェックし続けて行きたいものと考えます。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役