オバマ氏が第44代のアメリカ合衆国大統領に当選しました。4年に一回の大統領選。しかも今回は、アメリカは金融危機などで大変大きな問題を抱えている時ですし、オバマは史上初の黒人大統領となるなどで、特にスペシャルな大統領選だったと思われます。その投票・決定日と云う、謂わば歴史的な日にアメリカにいることが出来て、ちょっとラッキーだったと感じています。私はアメリカ人ではないので、実際のところ何が起きていて、オバマが大統領になることが何を意味するのか、或いはどういった感情や考えからこのような流れになったのか、本当のところ、ニュアンスは分かりません。民主党と共和党が、アメリカが直面している現状の問題に対して、どれだけ違う政策を取れるのかも、私には分かりません。さはさりながら、拙い知識で推測するに、民主党政権であれば、保護的な傾向や社会主義的色合いが強くなるとは思われ、それが果たしていいことなのかも分かりません。

然しながら、若いリーダーに大国を牽引させよう、「変化」を起こそう、かつて被差別階級であった層の出身者を自国のリーダーに迎えようとする意志、そしてそれを、タラレバではなく、実際に起こしてしまうところに、アメリカの底力を見る気がします。テレビの中継を見ていると、大勢の民衆が各地で集まって、新大統領の誕生を祝福しています。その人たちは、今日、実際に投票に行った人たちでしょう。

アメリカには、民主主義のリアリティがあります。自分の一票が、自分の国の最高権力者を決める。今日投票に行かなければ、或いは今日マケインに投票していれば、マケインが大統領になっていたかも知れない。そう云ったリアリティ。自分が自らリーダーを決めたと云うリアリティ。
残念ながら日本にはこのような「民主主義のリアリティ」がありません。話が逸れますが、日本でも、例えば夫婦別姓について国民投票で決するとか、そう云ったことをするといいと思います。投票率は関係なし。二者択一の投票で、たった一票でも多かった方に決する。こう云ったテーマから、民主主義の効能と恐さを国民の間で認識していき、いずれもっと重要なこと-究極にはリーダー選びですが-にも直接民主主義を導入する。そう云ったことでもした方がいいと思います。そうしないと、民主主義のありがたみをを、徐々に忘れていってしまわないでしょうか。

話を元に戻しましょう。オバマ大統領。正直云って、彼にどれだけ出来るのか、私には分かりません。しかし、Let's give him a try. 大統領選を終えての、マケインとオバマの演説は、昔見たフランク・キャプラの映画の中の、民主主義の謳歌のようでした。この大統領選の中身と結果が、アメリカ国民の心理にポジティブな影響を与え、景気の回復や、金融危機問題の解決に向かって、前進してくれることを望みたいと思います。