こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。巷では不動産投資が盛んです。しかし、ワンルームマンションや一棟アパートを所有することだけが「不動産投資」ではありません。この種の不動産投資は、一個の不動産という「単品」への投資となります(株式で云うところの「個別株」への投資なのです)。また、多くの場合、個人の不動産投資は
「居住用建物」に限られます。REITは不動産投資信託と呼ばれ、単体の不動産ではなく、数多の不動産をパッケージ化した投資法人です。その投資対象は、オフィスビル、居住用建物、商業施設、ショッピングモール、物流倉庫、ホテル・旅館、ヘルスケア施設など多岐にわたります。
株式投資を行う際には、誰しも「銘柄の分散」に心を配ります。また、外国株を保有することで「国・地域の分散」も施せます。従来の不動産投資では、このような分散戦略が乏しかったのではないでしょうか(もちろん、海外の不動産投資はハードルが高く、購入単価が高い不動産はそもそも分散がしにくいという実情があります)。日本には現在、60本のREITが上場しますが、証券取引所で取引されるため、いつでも「時価」で売買が可能です。購入単価が低く、流動性が高いことは特筆されるべきでしょう。またREITは毎期決算を行い、財務情報の開示が義務付けられています。何より、たくさんの不動産を束ね、合同で運用を行うため管理の効率化が図れます。

REITのETFは、すでに分散を施したREITをさらに束ねるため、二重の分散効果を有します。具体例を挙げてみましょう。「東証REIT指数連動型上場投信(1343)は純資産額が2,800億円を超え、日本を代表するREIT ETFと云えます。これ1本で、国内上場のすべてのREITを内包します。仮に1本のREITが30の不動産を持つとすると、30×60本 = 1,800もの不動産を間接保有することになります。1343の分配金は年4回で、分配金利回りは3.51%となっています(2018年2月現在)。また、REIT ETFなら、不動産のグローバル投資も容易です。「外国REIT・S&P先進国REIT指数(除く日本・為替ヘッジなし)連動型上場投信」(2515)は、日本以外のアメリカ、オーストラリア、イギリス、シンガポール、フランスなど、312の先進国REITを網羅しています(2月末現在)。
次に米国上場のREIT ETFです。「iシェアーズ 米国不動産 ETF」(IYR)は2000年に上場した老舗ETFのひとつ。このIYRに「iシェアーズ 先進国(除く米国)不動産 ETF」(IFGL)を加えれば、先進国全域のREITをカバーできます。また、IYRより銘柄数を絞り込んだ「不動産セレクト・セクター SPDR」(XLRE)もあります(こちらは年間経費率が0.14%と低廉)。国内上場に戻ると、オーストラリアREITに特化した「上場インデックスファンド豪州リート」(1555)や、「上場インデックスファンドアジアリート」(1495)も選択可能です。1495はシンガポール、香港、中国、マレーシア、インドネシア等のREITに投資を行います。世界的に見れば、不動産の「有価証券化」は始まったばかりであり、これから先、不動産もグローバル分散が当たり前になるでしょう。

コラム執筆:カン・チュンド

晋陽FPオフィス代表

2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。