先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、香港ハンセン指数は急反落、創業板指数は大幅続落となりました。前回もお伝えした通り、中国政府が金融緩和と景気刺激策に舵を取ったことから一旦底打ちしたかに見えた中国株なのですが、8月1日(水)から再度下落トレンドに入りました。キッカケは米国が2,000億ドル相当の中国輸入品に対する関税案について、税率を10%から25%に引き上げることを検討しているとの報道です。早ければこの関税は9月にも実施される可能性があります。中国は米国に対し、貿易を巡る「どう喝と圧迫」をやめるよう警告し、米国が前述の追加関税を実施次第、米国からの輸入品600億ドル相当に関税を賦課することを明らかにしています。
しかし、トランプ大統領は強気な姿勢を崩しておらず、クドロー米NEC委員長も通商の対立で米国が引くことはないと言明しており、この米中通商問題の解決はもう少し時間がかかりそうです。ただ、そもそも米国は中国製品を約5,000億ドル輸入しているのに対し、中国は米国製品を約1,300億ドルしか輸入していません。また、中国株が大きく下落したり、中国の実体経済にも影響が徐々に出てきていると言われる中で、中国の交渉力が弱まってきているのも事実です。中国共産党中央委員会の機関紙である人民日報には経済・株価支持を国民に呼び掛ける異例の掲載がなされるなど、中国側の苦しんでいる様子がうかがえます。したがっていずれかの時点で中国が折れるしかない問題であり、いずれこの問題は解決する可能性が高いところです。
今回の株価下落ではファンダメンタルの良い銘柄も大きく株価が下がっています。たとえば、今期の業績で大幅増収増益が見込まれており、高ROEで財務内容も良い銘柄も大きく下がっています。既に中国は金融緩和と景気刺激策に舵を取っていることから、この問題が解決すれば、株価は急反発するとも予想できます。もちろん、前述のように米中通商問題の解決にはもう少し時間がかかりそうですので、一段の下落の可能性も十分ありますが、中長期で見れば、今回の株価急落は優良銘柄を安く手に入れる絶好のチャンスとも取れると思います。
コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)