Nさんと言っても、ナベツネさんのことではありません。Nさんは中国でのビジネスに夢を抱き、或る程度高齢になられてから北京で起業した日本の方です。私は最近Nさんと知り合ったのですが、とても人のことを気遣う方で、かつ起業家精神のバイタリティに富んだ、素敵な方でした。Nさんは突然の事故でカナダで他界され、今日、東京で、Nさんを偲ぶ会が催されました。

会場には多くのNさんの御友人などがいらっしゃっていましたが、会を運営されていたのは、北京にあるNさんの会社の方々でした。Nさんは多くの現地中国人スタッフ、特に女性を重用されていました。会は故人の足跡を和やかな雰囲気の中でスライドで紹介する、ちょっとカジュアルなものでしたが、会が終わる頃、中国人の幹部スタッフ達の目は微かに赤くなっていました。帰り際、受付で記念の品を渡す若い中国人スタッフも、日本語で「ありがとうございました」と、心のこもった声で言っていました。Nさんは現地スタッフの方々に本当に慕われ、愛されていたのだと、そう感じました。

国境を越えたチャレンジと、国境を越えた人々の間の尊重する気持ち。志半ばで倒れたNさんの思いは、何らかの形で私も引き継いでいきたいと、そう考えた夕暮れ時でした。