本日は、日本の株価シリーズの第3弾です。
世界的な本格的戦争リスクの低下、日本における構造調整の進捗、外国人株主による株主価値増大に向けての圧力などが、日本の株式市場にとって追い風であると、昨日までに書きました。今日は小泉内閣の国策について考えたいと思います。我が国の金融システムは、戦後の焦土から復興するために、間接金融の枠組み(郵貯、銀行)を使って全国の個人からリスクマネーを吸い上げて、政府がそれを戦略的産業に集中資本投下する体制を取ってきました。しかし現代は経済構造の変化が速く、「何が次代の戦略的産業か」が分からなくなってきている訳で、以前のようなリスクマネーの融通の仕方では時代の要請に応えられなくなってきています。従って、よりダイナミックにリスクマネーが再配分されるように、現内閣は間接金融から直接金融の移行を唱えています。そもそも間接金融偏重になった理由が、国民から自然発生した訳ではなく、恐らく上記のように国策によって促された訳ですから、国策が変更されれば、国民的なお金の流れも変わっていく可能性があると思います。たとい1%の個人金融資産が預貯金から株式市場の移動しても、それは東証上場企業時価総額和の4%程度になることを留意すべきでしょう。今回の株価上昇は、このようないくつかの構造的な理由を背景としている可能性があると思っています。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。