アメリカの起こした戦争の是非は難しい問題です。私は単に反戦と言う気もありませんし、かと言って単にブッシュを支持する気もありません。この問題は、単純な問題ではないと思います。武力行使をせざるを得なかった理由もいっぱいあるでしょう。そして一方で、そのような決定に至ったプロセスや、戦争自体の方法についても、数多くの批判があるでしょう。しかし物事を単純化して「いい」か「悪い」か決めるのは、極めて危険だと思います。
特に今回の衝突は、原理主義的なモノな考え方が状況を悪化させているように思えるので、尚一層です。行動の裏にある内心を知ることは、必ずしも最も重要なことではないと常々考えています。そもそもどんな言い訳をしても、人はその行動に責任を取るべきですし、内心の有無や善悪に関わらず、その行動の結果が内心と違う意味を持つことがあっても、その行動の評価は、基本的には内心に関わらずされるべきであると私は考えています。そうでないと人は社会生活を営みにくくなります。しかし、今回のアメリカの行動については、彼らの内心を知りたいと思いました。この時点で既に私の通常のセオリーから外れているのですが(というのは何が本当の内心かというのは本来誰にも特定できず、邪推するのはとても危険なことだからです)、しかし所謂「ネオコン」の考え方は、一参考として知りたくなりました。プロジェクト・フォー・ザ・ニューアメリカン・センチュリー(http://www.newamericancentury.org/)。チェイニー副大統領や、ラムズフェルド国防長官が名を連ねる「ネオコン」シンク・タンクです。内心を推測するのは危険だと認識しつつ、然しながらこのサイトの諸論文は一読に値します。複雑な気持ちは、更に複雑になるのみです。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。