S&P500は最高値更新、大型株以外にも買いの裾野が拡大
先週(10月5日週)のS&P500は+1.15%、ナスダック100は+0.24%上昇。S&P500は10月6日(火)に2026年28回目の終値での史上最高値を更新しました。原油高や長期金利への警戒、AI関連のニュースに影響を受けながらも、週間では上昇となりました。企業の業績成長への期待が、相場を支えています。
注目に値するのは、S&P500の均等加重指数が週間で+1.57%上昇し、通常のS&P500を上回ったことです。均等加重指数は、時価総額にかかわらず、各銘柄を同じ比率で組み入れます。つまり、超大型株以外のS&P500採用銘柄にも買いが広がっており、これは前向きに評価できます。
ただ、小型株のラッセル2000は週間で-0.9%下落し、5週連続の下落となりました。市場全体が一様に強いわけではなく、企業規模や業種による差は残っています。
AIインフラ投資の需要は引き続き旺盛
10月8日(木)には、OpenAIの売上に関する英紙Financial Timesの報道をきっかけに、AI関連株が売られました。9月末時点の年率換算売上が約500億ドルと、従来報じられていた約700億ドルを下回ったことが懸念されたのです。一方、翌9日(金)、年末には約700億ドルに達する見通しとの報道も出ました。
9月末時点の数字と年末の見通しは分けて理解する必要があります。年率換算売上は、足元の売上ペースを年間に換算した数字で、年間の実際の売上とは異なります。数字の時点や算出方法を確認し、見極めることが不可欠です。
AIへの投資需要を示す動きも続いています。マーベル・テクノロジー[MRVL]は先週(10月5日週)、複数年の売上見通しを引き上げました。光通信部品を手掛けるルメンタム・ホールディングス[LITE]でも、先々まで供給枠が埋まるほどの需要が伝えられています。
AIの普及には、半導体だけでなく、データセンター内外で大量の情報をやり取りする通信設備も必要です。こうした企業の受注や業績見通しからは、AIインフラ投資の拡大が続いていることがうかがえます。
株式相場の重石となる原油高と長期金利の上昇
マーケットのリスクとして引き続き注意したいのが、原油と長期金利です。
中東情勢への警戒などから、ブレント原油は1バレル100ドルを上回りました。米10年国債利回りは週中に一時5.36%近辺まで上昇し、週末も5.24%と高水準です。
金利の上昇は企業や家計の借入負担を増やすとともに、株式のPERを押し下げる要因になります。例えば、1株利益が10%増えてもPERが10%下がれば、株価は計算上約1%下落します。利益予想と金利を併せて確認する必要があります。
原油高は企業の利益にも影響します。デルタ航空[DAL]は燃料費の増加を背景に、通期の利益見通しを引き下げました。航空や運輸など、エネルギーコストの影響が大きい業種では、売上が伸びても利益率が低下する可能性があります。家計にとっても、燃料費の上昇は使えるお金を減少させます。今後は、コスト増を価格に転嫁できる企業や、消費者の節約志向に対応できる企業の競争力が、より重要になると考えています。
今週(10月12日週)の焦点、物価指標と大手銀行を皮切りに本格化する第3四半期決算
金融政策も楽観できません。10月7日に公表された9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨では、大半の参加者が、年内の追加利上げが適切になる可能性が高いとの認識を示しました。
今週(10月12日週)は14日(水)に9月の消費者物価指数(CPI)、15日(木)に生産者物価指数(PPI)が発表されます。エネルギー価格の上昇が、物価全体にどこまで波及しているかが焦点です。小売売上高からは、物価高の中でも消費が維持されているかを確認したいと思います。
同時に、大手銀行を皮切りに、米国企業の第3四半期決算発表が本格化します。ジェイピー・モルガン・チェース[JPM]、ウェルズ・ファーゴ[WFC]、シティグループ[C]などでは、融資需要の動向に加え、貸倒れに備えた引当金や消費者の返済状況に注目しています。
また、ゴールドマン・サックス[GS]とモルガン・スタンレー[MS]は、資本市場の活況を追い風に、業績の拡大が期待されます。銀行の決算は、企業や家計が高金利の負担にどこまで耐えているかを見極める手掛かりになります。また、各社が示す今後の業績見通しが、高値圏にある株価を裏付ける内容となるかも重要なポイントです。
