米国債券市場では、短期国債利回りと長期国債利回りの格差が縮小するイールドカーブの「フラットニング」が進んできました。10月8日時点における米10年債利回りと米2年債利回りの格差は0.47%と、2025年末の0.69%から縮まっています。フラットニングは、金融政策を巡る見通しの変化などを背景とする短期国債利回りの上昇や景気の先行きに対する懸念などを受けた長期国債利回りの低下など、様々な要因によって生じます。

株式市場との関係という視点では、過去20年(2006年10月-2026年9月)で米10年債利回りと米2年債利回りの格差の3ヶ月前比が縮小した月(フラットニング局面)を抽出し、ファクター別指数のMSCI米国指数に対する月次超過リターンを比較しました。結果としては、クオリティ株指数が市場を上回った月が58.6%と、ファクターの中で相対的に高い勝率となりました。クオリティ株は一般的に、効率的に利益を創出する力や財務基盤の強さ、利益の安定性を備えた企業で構成されます。そこで今回は、クオリティ株の特徴に先々の予想という要素を加えた以下の条件をもとに銘柄をピックアップしました。

<抽出条件>
・S&P500種株価指数に含まれる銘柄
(除く銀行、保険、不動産、投資銀行・証券会社、消費者金融、資産運用・資産管理)
・12ヶ月先予想ROEが相対的に高い
・総負債÷普通株式資本で計算される比率が相対的に低い(除くマイナス銘柄)
・過去10年における一株当たり利益(EPS)の変動性が相対的に低い
・今後2会計年における予想EPS成長率が5%以上

リストをみると、消費者や企業向けのソフトウェアを手掛けるマイクロソフト[MSFT]が名を連ねています。同社は足元で人工知能(AI)アシスタントの「コパイロット」の刷新を発表しました。常時稼働する自律型AIエージェントといった新機能を導入するほか、文書作成や表計算ソフトの主要な機能を「コパイロット」に搭載するとしています。同社の幹部は、「セキュリティや法令順守、企業統治上の懸念から、エージェント導入が困難だった企業が多い」として、「実際に活用できるよう取り組んだ」と述べています。AI関連での収益拡大が今後の業績を支える要因となりそうです。また、世界最大級の決済処理企業であるビザ[V]も基準を満たしました。世界200カ国・地域で企業、銀行、政府の決済を支え、年間の総取引件数は3200億件超にのぼります(2025年9月30日までの12ヶ月)。2026年第3四半期の決済高は前年同期比10%の増加で2桁成長となっている一方、足元では技術部門や製品部門での人員削減も発表しています。成長機会への投資と並行して業務効率化にも取り組んでいます。他方、金融データを提供するファクトセット・リサーチ・システムズ[FDS]もリスト入りしました。データサプライヤーやニュースソース、取引所、証券会社などからのデータを集約し、同社のアプリケーションに組み込んでいます。バイサイド(機関投資家)の顧客が年間サブスクリプション契約高の80%以上を占めています。9月30日に発表された最新四半期決算では、AIとデータソリューションへの需要が続いたことを背景に、売上高、EPSともに市場予想を上回りました。既存の法人顧客とより長期の契約を結んでおり、最新四半期の平均更新契約期間が30%延びたとしています。

この他にも様々な業種で効率的に利益を創出する力や財務基盤の強さ、利益の安定性を備えた銘柄があると考えられますので、参考にしていただければと思います。

一般的なクオリティ基準に予想の要素を加えた条件を満たした銘柄例はこちらからチェック