モトリーフール米国本社 – 2026年10月6日 投稿記事より
AIを巡る大きな環境変化にも巧みに対応している大手3社
長期投資家の本格的な資産形成の土台となるような、持続的なキャッシュフローを生み出し、それを成長させている企業も少なからず存在します。今回紹介するクラウド・コンピューティング大手3社は、AIへの需要が支出だけではなく、実際の契約済み収益に結びついていることを明確に証明したばかりです。
これらの銘柄は一部の投資家に大きな資産をもたらしてきましたが、まだ上昇余地が残っていると考えられます。大手3社は、数千億ドル規模の人工知能(AI)関連契約を確保しており、AI投資ブームが単なる期待先行だけではないことが明らかにしています。また、大手3社は過去5年ほどにわたるAIを巡る大きな環境変化にも巧みに対応しており、既に人気の銘柄でありながらも、手堅い投資対象となるような施策を積極的に進めています。
1.マイクロソフト[MSFT]はAzureの事業規模の大きさを証明
マイクロソフト[MSFT]は、2026年に初めてAzureの売上高を単独で公表し、その数字は驚くべきものでした。足元でAzureの売上高は年間約1000億ドルのペースで推移しており、これは前年比43%増に相当します。この成長の背後には6780億ドルの受注残が存在します。つまり、顧客は今後数年間でそれだけの規模のAzureサービスとAIコンピューティング能力を購入することを既に確約しており、そのためマイクロソフトは将来の売上をかなり高い確度で見通すことができます。また、同社のOfficeソフトウェア群に組み込まれたAIアシスタント「Microsoft 365 Copilot」の有料契約者数は3000万人を突破しています。
2. アマゾン・ドットコム[AMZN]はAWSにAIチップ事業も担わせようとしている
アマゾン・ドットコム[AMZN]は2026年、テック業界史上で最大級のクラウド利用契約を獲得しました。2026年4月、AI開発企業のアンソロピックは今後10年間でAWSに1000億ドル以上を支出することに合意しました。この契約には、アマゾンの独自設計チップ「Trainium」を基盤とする最大5ギガワット(GW)のコンピューティング能力の確保も含まれます。
アマゾンのアンディ・ジェシーCEOは、AWSはいずれ年間売上高1兆ドル規模のビジネスとなる可能性があると述べています。また、エヌビディア[NVDA]のGPUの対抗馬としてアマゾンが独自開発した「Trainium」チップシリーズは、既にほぼ完売状態だとブルームバーグは報じています。
とはいえ、アマゾンはAIコンピューティング能力を拡張し続けるため2026年の設備予算を約2200億ドルに増額しました。これは大きな賭けであり、それらの投資が利益を生む前にAI需要が冷え込んだ場合、利益率に悪影響が及ぶ可能性があります。
3. オラクル[ORCL]の真の注目点は巨額の受注残
オラクル[ORCL]は、ほぼ一夜にしてAIクラウドインフラ企業に変貌を遂げました。同社のRPO(残存履行義務:契約済みながら、まだ売上高として計上されていない将来の収益)は、直近四半期に過去最高となる6640億ドルに達し、ウォール・ストリート・ジャーナルによると、そのうち約3000億ドルが単一の顧客、すなわちオープンAI向けとなっています。オラクルはそうした需要に対応するため、既に850メガワット(MW)のデータセンター容量と約30万基のAIチップを配備しています。
ここで明らかなリスクとなるのは顧客の集中です。仮にオープンAIの事業が躓き、同社が義務を履行できなくなった場合、オラクルの将来収益のかなりの部分も共に失われることになります。さらにオラクルは、顧客との契約に対応するため、数十年に及ぶデータセンターの賃貸契約を締結していますが、顧客契約の期間は場合によってはそれよりはるかに短くなっています。
長期投資の視点でこの3社の組み合わせが重要だと考える理由
最近ゴールドマン・サックス[GS]のチーフエコノミスト、ジャン・ハッチウス氏は、「これら3銘柄のいずれもAIクラウド関連の投資先としてリスクがないわけではなく、AI投資がいつまでも一直線に拡大し続けるとは限らない」という見解を改めて述べました。
それでも、筆者が常に意識しているのは、マイクロソフト、アマゾン、オラクルが既にそれぞれの分野で巨大企業としての地位を確立しているという点です。これら3社はそれぞれオペレーティングシステム(OS)、オンライン小売、企業向けデータベースを柱に巨大な事業を築いており、一般的な基準に照らせば、既に十分な成功を収めている企業です。
それにもかかわらず、今回改めて注目している理由は、これら各社があたかも自社のAIクラウド事業がまだ初期段階にあり、まさに「初日」であるかのような姿勢で事業拡大に取り組んでいるためです。この点こそが目先のニュースや昨今のAIブームを材料に短期的に売買するのではなく、長期で保有するに値すると感じている理由です。
これら3社は、AIの成功に賭ける駆け出しのスタートアップ企業ではありません。長年にわたるAIインフラ構築を支えるための財務基盤を有する確立された巨大企業であり、しかも各社は、将来のAI需要のうち数千億ドル規模を、すでに契約済みの事業へと転換しています。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Micah Zimmermanは、記載されているどの銘柄の株式も保有していません。モトリーフール米国本社は、アマゾン、マイクロソフト、オラクルの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は情報開示ポリシーを定めています。
