2026年前半の米国株式市場では半導体関連銘柄の値上がりが顕著だったものの、足元では上昇一服となり、バリュー株式指数のパフォーマンスが相対的に良好となるなど投資家による物色対象に変化の兆しがみられています(過去1ヶ月の騰落率、フィラデルフィア半導体株指数:-2.6%、ラッセル1000バリュー指数:+4.2%、2026年7月2日時点)。ここ最近、選好されているバリュー株式への投資にあたっては割安度の高さが重要なファクターですが、バリュートラップの回避に重きを置く機関投資家もしばしばみられます。バリュートラップとは、株価指標などから割安と判断される銘柄に投資したものの、一向に値上がりしない状態に陥ることを指します。このバリュートラップの回避に関して、資産価格理論の権威であるロチェスター大学のNovy-Marx教授は、過去の自身の研究結果を踏まえて、割安度を測る指標に加えて企業のクオリティ(総収益性)にも着目することが有効、との考えを示しています。そこで今回は、株式評価の基本となる割安度と業績見通しに加えて、総収益性(総資産に対してどれだけ効率的に粗利益を稼いでいるか)ではかる企業のクオリティを勘案し、以下の基準で銘柄をピックアップしました。
<抽出条件>
・S&P500種株価指数に含まれる銘柄
(除く銀行、保険、不動産、投資銀行・証券会社、消費者金融、資産運用・資産管理)
・12ヶ月先予想PER(株価収益率)が過去10年平均および過去5年平均を下回る
・市場におけるEPS(一株あたり利益)予想の上方修正が下方修正を上回る(過去3ヶ月)
・各業種において総収益性(粗利益÷総資産)が高い2銘柄を抽出(計20銘柄)
リストを確認すると、消費者の信用評価スコアに関するソフトウエアを提供するフェア・アイザック[FICO]が名を連ねています。同業他社による値下げに伴う競争激化が懸念されていますが、同社の経営陣は、信用スコアの直接販売モデル導入や価格改定で対抗しています。加えて、6月8日には同社の取締役会が20億ドルの自社株買いプログラムを承認しています。また、環境ソリューション企業のヴェラルト[VLTO]が基準を満たしました。同社は2023年にダナハー[DHR]から分離上場し、水質分析や水処理ソリューションを手掛けています。足元ではコスト最適化プログラムを進めており、業績改善が期待されます。他方、米国最大級の食品サービス卸売企業であるシスコ[SYY]もリスト入りしました。レストランや病院、学校などを対象に食品を供給しています。足元では、販売量が増加しているうえ、調達の効率化や効率的な管理によるコスト上昇圧力の緩和も業績にプラスに作用しています。
株式分析の基本とされるバリュエーション指標と業績指標に、クオリティ(総収益性)という軸を加えることで、これまであまり目を向けてこなかった銘柄に出会えるかもしれませんので、参考にしていただければと思います。
