毎月分配型の投資信託が、高齢者層だけでなく若年層にも買われているようです。投資信託協会(現・資産運用業協会)が2026年3月にまとめた「2025年度投資信託に関するアンケート調査報告書」(※)によると、毎月分配型の保有者は70代が4割で最多。次いで多かったのは20代でした。

毎月分配型の投資信託の保有率は29.6%で年々減少傾向にありますが、世代別にみると20代の保有率が34.0%と70代(44.1%)に次いで高いという結果でした。

毎月分配型の投資信託はNISAの対象外

資産形成を目的とした投資を始めるなら、売却益や受け取る配当金・普通分配金が非課税になるNISA(少額投資非課税制度)口座を活用した方がよいですが、「毎月分配型」の投資信託はNISAの「つみたて投資枠」「成長投資枠」ともに対象外です。

20代の人がNISAの年間投資枠360万円をすべて使い切った上で、課税口座で毎月分配型投信を買っているとも考えにくいので、こうした行動は不思議です。

前述の報告書では、毎月分配型の投資信託に魅力を感じる理由について、20代は「一部払戻しの分配金であっても、収入を補完する上で活用できる」が26.9%と、ほかの世代よりも高くなっていました(全体より4.1ポイント高い)。

分配金は預金の利息とは異なる

分配金は預金の利息とは違います。

投資信託にも、会社と同じように決算日があります。分配金は投資信託の決算が行われたときに投資家に支払われるお金です。毎月分配型と呼ばれる投資信託は毎月決算を行うタイプで、決算のたびに分配金を支払うタイプの商品を指します。

分配金については誤解されている部分もあるので、基本的なことを押さえておきましょう。

・分配金は必ずしも収益から支払われるとは限らない
・分配金の一部、または全部が投資した資金(元本)から払い出される場合がある
・分配金は運用資産(純資産総額)から払い出されるので、分配金を支払えば運用資産はその分減り、基準価額もその分下がる

投資信託のもうけは何で決まるかというと、売却益(または損)と分配金の2つです。

1つ目の売却益・損は投資信託の価格がどう動くかによって決まります。投資信託を購入したときよりも基準価額が上昇していれば、解約した時に利益が出ますし、逆に値下がりしていると損になります。基準価額は「1万口当たり〇円」と表示されていることが多いです。

2つ目は分配金です。投資信託には決算の際に投資家へ分配金を支払う仕組みがあります。投資信託によって分配頻度や分配方針が決まっていて、極力分配金を出さない商品もあります。分配金は投資信託の資産から支払われるので、分配金が出ると投資信託の資産が減り、基準価額もその分下落します。

ですから、分配金を受け取った分、投資したお金が増えているわけではありません。分配金と銀行の利息はまったく違うものです。投資したお金が増えたかどうかは、買った時よりも基準価額が上がっているか・下がっているか、そして受け取った分配金の両方を合わせたトータルリターンを見る必要があります。

投資信託を購入する目的を再考しよう

そもそも、長期的に「資産形成をしていこう」という現役世代は、積極的に分配金を出す投資信託を購入する必要はありません。頻繁に分配金を出すと、運用益を再投資することによる効果が薄くなります。また課税口座で毎月「普通分配金」を受け取ると、そのたびに課税されるからです。

毎月お給料が入り、分配金として得たお金を今すぐに生活費として使う予定がない現役世代の人たちが、毎月分配型の投資信託を買う必要は本来ないはずです。報告書の総括では若年層への対応として、次の記載がありました。

「資産形成期にある若年層に対し、長期的な複利効果のメリットや、分配金受取による運用効率の低下リスクの認知を促すとともに、生活に応じた投資額の調整が重要であると考える」

これはその通りだと思います。

この機会に、改めて投資する目的や運用できる期間などを考えてみましょう。

・投資をする目的は何か
・運用できる期間は何年あるか?
・NISAの利用状況

などを整理してみましょう。あわせて「投資方針書」などを作成しておくとよいかもしれません。

【図表】投資方針書の例
出所:筆者作成
目的 リタイアまでに老後のお金をつくる
運用期間 60歳までは積極運用、その後は株式の比率を下げる
運用方法 投資信託の積み立て(iDeCoやNISAを優先的に利用する)
配分 リスク資産と無リスク資産(預金)が半々になるようにする
商品

積み立てるのは日本株と日本を除く世界株のインデックスファンド。

それとは別に、課税口座で個人向け国債を保有する

チェック方法  年に一度、年末に資産配分と時価評価額をチェックする
その他 万一に備えるお金として、生活費の半年分は預金に置いておく など
出所:筆者作成

また「毎月の投資信託の積立額は適正か」も確認したいところです。毎月受け取る分配金が必要なら、「投資に回しすぎ」を疑ったほうがいいかもしれません。毎月分配金を受け取って生活の足しにする、というサイクルではなく、適切な積み立て投資額を設定し、分配金に頼ることなく生活していくのが基本です。そして投資信託は長期的に運用し、大きく育てていきましょう。