一部のアスリート向けから、日常の「手軽な栄養補給」へ

世界的にプロテインの需要が増加し、価格も上昇している。特にホエイプロテインへの関心が高まっている。

これまでプロテインといえば、一部のアスリートが摂取するものというイメージだった。スポーツの後に水などに溶かして飲むプロテイン(たんぱく質)が代表例といえる。激しいトレーニングをすると、その負荷によって筋肉や一部組織が損傷する。損傷が回復する際に材料となるたんぱく質を補うことで、リカバリーを促せる。

最近では、日本でメジャーリーガーがプロテインのテレビCMに登場して知名度が上がったこともあり、手軽に栄養を補給する目的でプロテインを摂取するケースが増加している。コンビニでも気軽に購入できるようになった。

「アミノ酸スコア」が高いホエイプロテイン

プロテインには牛乳のたんぱく質に含まれるカゼインを主成分とした「カゼインプロテイン」、大豆たんぱく質を原料とした「ソイプロテイン」などがあるが、最近、注目されているのが「ホエイプロテイン」だ。ホエイは乳清とも呼ばれ、ヨーグルトの上澄み液などを指す。

ホエイプロテインはカゼイン同様、牛乳に含まれるたんぱく質が原料だが、水に溶けやすく、消化吸収が早いという特長がある。また、健康づくりに役立つ必須アミノ酸やBCAA(分岐鎖アミノ酸=運動時のエネルギー源)が豊富に含まれていることで、スポーツをする人だけでなく、一般の人の体づくりもサポートできるという。必須アミノ酸は、ヒトの体の中で作ることができないため、食べ物から摂取する必要がある。ホエイプロテインは必須アミノ酸のバランスの指標となる「アミノ酸スコア」が高いとされている。

なぜホエイプロテインの価格は上がっているのか

ホエイプロテインは、需要の増加から価格が高騰している。アナリストによると、需要面では、価格高騰の要因として、機能性の高さや世界的な健康志向の高まりなどが挙げられるという。直近1年間で約6割の上昇になったとの指摘がある。また、海外ではGLP-1薬(食欲を抑える薬)の普及により、トレーニングをしてプロテインを摂取する人が増加しているとの指摘もある。一方、原料となるホエイはチーズの副産物であるため、増産が容易ではない。

価格の高騰は供給サイドにとって値上げできればメリットが大きい。世界的な健康志向の高まりで、需要は増加傾向が続くことも予想される。

注目のホエイプロテイン関連5銘柄

森永乳業(2264)

乳業で国内2位。乳製品やビフィズス菌などが主軸。ドイツ子会社のミライ社がホエイ原料を手掛けている。外資系証券によれば、ミライ社は南ドイツの一大チーズ工場地帯に工場を構え、グローバルな粉ミルクやニュートリション企業にホエイプロテインなど機能性乳製品を供給している。アナリストによると、森永乳業の決算説明会で2028年3月期以降をめどに、ホエイプロテインの増産検討が示されたという。

【図表1】森永乳業(2264):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2026年6月18日時点)

ラクト・ジャパン(3139)

乳原料でスタートした独立系の食品専門商社。日本で消費される乳製品原料の約4割が輸入で、そのうち同社が35%を担っていると推計される。2020年から新規事業として、ホエイプロテインをはじめとした機能性食品原料の輸入販売を開始している。同社のホームページでは、ホエイプロテインは世界的にも物量確保の面で厳しい環境が続くと予想されるとしたうえで、同社では「既存仕入先との連携強化、新規仕入れ先の開拓を通じて商品調達の安定化に注力し、プロテイン関連ビジネスのさらなる拡大を目指す」としている。

中期経営計画では2028年11月期のホエイプロテインを含むライフサイエンス事業部門の売上高145億円(前期実績95億9400万円)を目標としている。

【図表2】ラクト・ジャパン(3139):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2026年6月18日時点)

雪印メグミルク(2270)

乳業の大手。ホエイたんぱく質(プロテイン)由来の機能性ペプチド「β(ベータ)ラクトリン」を展開している。ホエイたんぱく質が分解されて短くなった物質をホエイペプチドと呼ぶ。ホエイペプチドの中から、血圧を下げるなどの健康効果が期待される生理活性ペプチドが発見され、注目を集めている。同社ではホエイペプチドの一種である「βラクトリン」を含んだ機能性表示食品飲料「記憶ケア βラクトリン」を展開。

【図表3】雪印メグミルク(2270):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2026年6月18日時点)

明治ホールディングス(2269)

乳業首位。「ザバス」ブランドのプロテインを手掛けている。ホエイプロテインを使った「ザバス ホエイプロテイン100」などを展開。たんぱく原料として吸収の良いホエイプロテインを100%使用。脱脂乳を酸処理し、カゼインとホエイに分離させたアシッドホエイ(酸ホエイ)プロテインを採用。これは、チーズホエイ由来の一般的なホエイプロテインより必須アミノ酸の含有率が高いという。

【図表4】明治ホールディングス(2269):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2026年6月18日時点)

森永製菓(2201)

菓子の大手。プロテインのラインナップが豊富。「おいしいホエイプロテイン」を手掛けている。また、ホエイ、カゼイン、ソイの3種類のたんぱく質が摂取できる「マッスルフィットプロテイン プラス」も手掛けている。時間差で吸収されるたんぱく質の特徴を活かし、たんぱく質摂取を意識しながら、脂質や炭水化物の摂取量が抑えられるとしている。

【図表5】森永製菓(2201):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2026年6月18日時点)