先週、東京で大規模なETF(上場投資信託)関連カンファレンスが開かれました。そこでは、世界のETF市場の拡大、アクティブETF、債券ETF、オプションを活用したETF、暗号資産ETF、トークン化市場、リテール投資家のETF活用など、非常に幅広いテーマが取り上げられました。今回のカンファレンスを通じて感じたのは、ETFは市場平均に投資するための道具から、投資家が目的に応じてリスクを設計する道具へと進化しているということです。

世界の資産運用業界で、ETFの存在感が一段と高まっています。ETFとは、株式と同じように市場で売買できる投資信託です。日経平均株価やS&P500種株価指数のような株価指数に連動するものが代表的ですが、近年は債券、REIT、金、インド株、半導体、AI、配当、低ボラティリティ、さらにはアクティブ運用型まで、対象は大きく広がっています。

米国ではETFの本数が個別株の数を上回ったとも報じられています。これは、ETFがもはや一部の投資家向けの商品ではなく、株式市場の中核的な存在になりつつあることを示しています。

ただし、ここで個人投資家が考えるべきことは、「ETFが増えたから、どれを買えばよいか」という単純な話ではありません。むしろ重要なのは、ETFにポートフォリオの中でどのような役割を持たせるかです。その際に参考になる考え方が、コア・サテライト運用です。

コア・サテライト運用とは、資産全体の中心部分である「コア」で長期の資産形成を支え、周辺部分の「サテライト」で相場観や関心、インカムニーズなどを反映する考え方です。たとえば、コアには全世界株式やS&P500、国内株式、債券などのETFを置き、サテライトにはAI、半導体、インド株、高配当、金、REITなどを投資対象とするアクティブETFを少し加える。こうした役割分担を明確にすることで、成長機会を取り込みながらも、ポートフォリオ全体が特定テーマに偏りすぎることを避けやすくなります。

選択肢が増えることは、投資を簡単にするとは限りません。ETFという名前がついていても、中身はさまざまです。広く分散された指数に連動するETFもあれば、特定の業種やテーマに集中するETF、レバレッジ型・インバース型のように短期売買向けの性格が強いETFもあります。高い分配金をうたう商品でも、その源泉が株式配当なのか、債券利子なのか、オプション収益なのかによって、リスクの性質は異なります。

したがって、ETFを選ぶ際には、まず「何に投資しているのか」を確認することが第一です。次に、「どの国・地域に偏っているのか」「株式なのか債券なのか」「為替リスクはあるのか」「信託報酬はどの程度か」「売買代金や流動性は十分か」を見る必要があります。ETFは便利な道具ですが、道具である以上、使い方を誤れば期待した効果は得られません。

足元では、米国株への集中、AI関連株への期待、金利の高止まり、地政学リスク、為替の変動など、投資環境は一段と複雑になっています。こうした時代にETFを使う意義は、短期的に人気テーマを追いかけることだけではありません。むしろ、資産全体を見渡し、コアで安定した土台を作り、サテライトで成長機会や個別の投資テーマを取り入れることにあります。

ETF市場の拡大は、個人投資家に自由をもたらしています。ただし、その自由は同時に選ぶ責任も伴います。だからこそ、ETFを単なる売買対象ではなく、自分の将来に向けたポートフォリオを形づくる部品として捉える必要があります。大切なのは、流行の商品を探すことではなく、そのETFが自分の資産全体の中でどの役割を果たすのかを考えることです。