「財政懸念の円売り」の結果とされた1月160円に迫った円安
2025年10月の高市政権誕生以降、2026年1月に159円まで進んだ米ドル高・円安は、基本的に日本の超長期債(30年物国債)の価格下落と連動していた。そして2月8日の衆院選挙終了後に米ドル安・円高に転じた動きは、超長期債価格が反発に転じたことと連動していた(図表1参照)。
また、高市政権誕生前、2025年4月の139円からの米ドル高・円安は、日本の長期金利の指標である10年債利回り上昇と基本的に連動していた(図表2参照)。こうしたことから、2025年の年央頃からの円安は、日本の財政リスクを懸念した債券価格の下落を主因とする「財政懸念の円売り」の結果だと説明されてきた。さらに、積極財政を掲げる高市政権の登場で、その動きが加速したという見方が一般的だっただろう。
債券相場の反発、金利低下は単に「行き過ぎ」の調整?
2月8日の衆院選挙の投開票日を前後して、超長期債相場は大きく反発に転じた。そして長期金利も低下に向かった。この背景としては、衆院選挙で与党が歴史的圧勝を収め、財政規律が維持される可能性が高まったからだという解説が多いようだ。こうした中で、「財政懸念の円売り」も一服した形となっている。ではそれはこの先も続くだろうか。
事実としては、衆院選挙後も高市総理は消費税減税の方針を変更したわけではない。その意味では、最近の超長期債相場の反発や長期金利の低下は、基本的には「これまで急過ぎたことの調整」に過ぎない、との見方もある。
「財政懸念の円売り」は一服or終了?=3月日米首脳会談にも注目
日本の長期金利については、10年債利回りがこの間のピークである2.3%で上昇を終了したわけではなく、この先2.5%以上へ上昇に向かうとの見方も少なくない。そうであれば「財政懸念の円売り」が再燃する可能性がある。これまでの関係を前提にした場合、米ドル/円もこの間の高値を更新、160円を超えて米ドル高・円安が広がる可能性もありそうだ(図表3参照)。
「財政懸念の円売り」は、あくまで一服しているに過ぎないのか。それとも、財政規律が維持される見通しを受けて、すでに一段落したのか。3月の日米首脳会談では、米国側から財政健全化や長期金利安定が要請されるとの見方も一部にある。そうした動きも踏まえ、財政規律の維持が現実味を帯びるかどうかが目安になるのではないか。
