トランプ政権発足後で最高の円売り越し=ヘッジファンドなど投機筋

ヘッジファンド(以下、ヘッジF)の取引を反映しているとされるCFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションが、1月13日に4.5万枚の売り越し(米ドル買い越し)となった。これは、2025年1月のトランプ政権発足後では最高の円売り越し(図表1参照)である。

【図表1】米ドル/円とCFTC統計の投機筋の円ポジション(2025年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

CFTC統計の投機筋の円ポジションは、2024年7月に米ドル高・円安が約38年ぶりの161円を記録し、「歴史的円安」と呼ばれた局面で売り越しが過去最大規模に拡大した。これはヘッジFなどの投機筋の円売りが、「歴史的円安」を主導したとみられた(図表2参照)。

【図表2】米ドル/円とCFTC統計の投機筋の円ポジション(2024年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

「歴史的円安」主導の円売りから円買いへ大転換=ヘッジF

ところが、2024年11月の米大統領選挙でトランプ氏が勝利すると一転して円売りに慎重になった。そして2025年に入り第2次トランプ政権がスタートすると、円買い拡大に大きく転換。4月には円買い越し(米ドル売り越し)がそれまでの最高を大幅に更新し、約18万枚まで拡大した。このようなトランプ政権復活の前後で見られた円売りから円買いへの大転換は、日米金利差(米ドル優位・円劣位)から見ると不合理なものだった。

日米政策金利差は2024年には5%以上に拡大した。このような大幅な金利差(米ドル有利・円不利)の状況で、投機筋が記録的に円売りを拡大し、「歴史的円安」の主導役となったのは明白だった(図表3参照)。その後、日米金利差は縮小に向かったものの、それでも足下ですらなお3%以上の米ドル有利、円不利の状況にある中で、なぜ2025年4月にかけてヘッジFなどの投機筋は空前の円買い拡大に動いたのか。

【図表3】CFTC統計の投機筋の円ポジションと日米政策金利差(2005年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

これは、金利差の円不利を補って余りあるほど、円高見通しに自信があった結果の円買い積極化ということ以外に考えられないのではないか。要するに、トランプ政権による円高誘導に「確信」に近い自信があった結果の円売りから円買いへの転換だったのだろう。

円売り拡大は一時的か、それとも?=トランプ政権の通貨政策との関係も注目

CFTC統計の投機筋の円ポジションは、1月13日には売り越しが4.5万枚に拡大、トランプ政権発足後の最高を更新した。これは、1月9日の米12月雇用統計発表や高市総理の早期解散・総選挙の可能性に関する報道などをきっかけに、大きく米ドル高・円安に動いた局面で、ヘッジFなどの投機筋も円売り拡大に動いた可能性のあったことを示している。

それはあくまで一時的なのか。それともトランプ政権誕生後の円買い戦略から円売り戦略に転換したのか。これまで見てきたように、ヘッジFの売買戦略はトランプ政権の通貨政策と密接に連携している可能性があった。それだけにヘッジFの売買戦略は、トランプ政権の通貨政策の変化も含めて注目されることになりそうだ。