今年は主要指数でみて、日本株が米国株を上回るパフォーマンスの年となりそうです。国内政治に大きな動きがありましたが、その積極財政のスタンスはケインズの主張に合うものでもあります。
2026年に没後80年を迎えるケインズは、偉大な経済学者として、積極財政と有効需要を創出するため国家が動くべき、と説いた人物である以上に、著名な投資家でもありました。大学の基金運用を四半世紀にわたり担い、長期にわたって高い運用成績を上げたことでも知られています。
実は彼、投資においては何度も大失敗をしています。当初はマクロ予測に基づいた短期売買に苦戦し、失敗を活かし最終的に辿り着いたのは「自分が熟知し、経営陣を信頼できる企業に集中投資する」という、きわめてボトムアップ色の強い手法でした。
また、「投資は美人投票」と語り、市場参加者の心理を鋭く突いた彼は、同時に「市場の狂気は、投資家が破産するまで続く可能性がある」という警句も残しています。
2026年に向けて、いつもながらですが、様々な不確実性に直面しています。来るべき年が、ケインズのような強靭な知性をもって、逆境を突破する「アニマル・スピリット」に満ちた年となることを願い、2025年私のつぶやきを締めくくりたいと思います。
- 塚本 憲弘
- マネックス証券 インベストメント・ストラテジーズ兼マネックス・ユニバーシティ シニアフェロー
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一橋大学 経済学部卒。東京都市大学・非常勤講師。専門分野は投資戦略全般。
国内信託銀行で経済分析、投資戦略の策定、ファンドマネージャーを歴任。その後プライベートバンクにて経済分析や幅広い資産クラスによる投資戦略、ポートフォリオ分析に従事。2021年より現職。
