2025年はトランプ政権と米国の関税に世界が大きく揺さぶられた1年
早いもので12月となりました。2025年も残すところ1ヶ月を切り、今回は「2026年の見通し」をお届けします。
2025年を振り返って、マーケットの動きとして最も記憶に残っているのは、4月7日です。この日、株価はトランプ関税の発表をきっかけに急落しました。日経平均株価が週明け早々から1日で▲2,644円も下落した、いわゆる「令和のブラックマンデー」です。
予期せぬ事態に直面して先行きの展望がまるで描けず、不安ばかりが拡大しましたが、日経平均株価はその後急速に値を戻し、結果的にはこの時が年間を通じて最も安い株価水準となりました。
急落した4月でも月間ではわずかに前月比でプラスを記録し、そこから10月まで実に8ヶ月連続で上昇しました(図表1)。11月4日には日経平均株価は史上最高値となる52,636円まで買われました。
4月の株価下落の原因の大半が、トランプ関税の影響とみられます。これほどまでに2025年は、トランプ政権と米国の関税に世界が大きく揺さぶられた1年でした。その過程で物色の二極化が大きく進みました。2025年の特徴を一言で述べるとすれば「二極化」が最もふさわしいと思います。
米国発の「生成AI革命」に刺激されて、洋の東西を問わず半導体関連株の株価上昇が顕著となりました。しかし、絶好調と見られる半導体セクターの中にも二極化の波は忍び込み、市場からの人気を集めるエヌビディア[NVDA]や台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング[TSM]、アドバンテスト(6857)、キオクシアホールディングス(285A)に対して、「レガシー半導体」とみなされる軟調な銘柄群も多数存在します。
2026年の米国経済、日本経済の注目点は?
マクロ経済面では、堅調な1年でした。日本のGDPは4-6月期に年率+2.2%とかなり大きな伸びを達成しました。企業の設備投資が活発化したことが主な理由です。
これはトランプ関税の影響を警戒していた企業側が、米国との関税交渉が進むにつれて、関税率は(少なくとも先進国には)心配されたほど厳しいものにはならない、との判断が広がったことが影響しています。
一時的に止められていた設備投資が再開され、日本から米国への輸出も値上げを浸透させながら底堅く推移しています。家計はインフレに悩まされながらも、堅実な消費活動を続けています。
目下のところ米国の経済は、長期にわたる経済成長の過程によって、雇用環境が弱まりつつあります。その情勢がこのまま続くのか、巨大テクノロジー企業による生成AI周辺の大規模な設備投資は維持できるのか、この2点が2026年の大きなテーマとなりそうです。
同時に、中国との間で貿易紛争は再燃するのか、金融緩和策に転じたFRB(米連邦準備制度理事会)はどこまで政策金利を引き下げるのかなどの問題は、米国経済ひとつをとっても明快な回答を得るのが難しい情勢です。
それは日本経済も同様です。高市政権が進める「危機管理投資」という名の成長投資、設備投資減税のインパクト、「責任ある積極財政」の家計への効果など、それらがどこまで経済を刺激するのか、注目されます。
米国とは反対に利上げモードにある日銀の金融政策の動向も合わせて、企業の判断がますますシビアに問われることになりそうです。簡単には結論が出せない状況が続きそうですが、株式市場の内部でも政策保有株の売却、金利上昇に触発された設備投資の活発化など、大きな変化が起こっていることは確かです。
2026年の日経平均株価は下値が47,000円、上値は54,000円を想定
マーケットは変化を好みます。その変化を明るい未来につなげられるかどうか、それは企業と国家の適応力次第、ということになるでしょう。日経平均株価の見通しとしては、下値が47,000円、上値は54,000円を想定しています。
上値の54,000円は、日経平均の現在の1株利益(2700円程度)が年間で+10%ほど成長し、そこに成長への期待値であるPER(18倍)をかけて算出しました。下値の47,000円は、10月初旬に高市政権が始まった時のスタートラインです。
物色対象としては、製造業では電機、機械、化学、自動車部品、非製造業では建設、不動産、銀行、小売、ソフトウェアと幅広くとらえています。
今後は経済の二極化を表す「K字」型の成長がますます進展すると指摘されます。2026年は下向きにあった企業群の中には、浮上する銘柄がかなり出現すると想定します。引き続き、グロース株を注目しつつ、2026年の注目企業をピックアップします。
三菱電機、日鉄ソリューションズなど2026年の注目企業をピックアップ
三菱電機(6503)
総合電機大手。人工衛星から家庭用エアコンまで、手がける製品のラインナップはきわめて広い。収益の柱はFA機器、発電機、昇降機などの重電システム。エレベーター、パワー半導体、白物家電も強い。ミサイル誘導システムなど防衛分野では三菱重工業とペアで行動することが多い。今期も最高益更新の見通し。
日鉄ソリューションズ(2327)
日本製鉄系のシステム開発会社で日本製鉄(5401)が株式の63%を保有している。製鉄過程の複雑なシステム開発で培った技術力が武器。製造業の情報インフラからメガバンクのリスク管理システムまで幅広いシステム開発を手がける。次なる「親子上場の解消」対象企業として市場では折にふれて話題にのぼる。日鉄鉱業への売上依存度は20%程度。上場システム会社のインフォコムを2025年7月に子会社化した。今期も最高益を更新。
図研(6947)
プリント配線基板のCAD/CAMで国内トップ。世界でもトップクラスの実力を持つ。自動車、エレクトロニクス、産業用機械、航空・宇宙など、あらゆる製造業の現場で必要とされる設計と生産管理の分野で、業務全般を担うシステムコンサルタント。同社のMBSE(モデルベース・システムズ・エンジニアリング)が製造現場のライフサイクル全体を変革する。今期も実質的に最高益更新。
日本高純度化学(4973)
電子部品を接続する部分でのめっき液専業メーカー。半導体パッケージとコネクタ用の金めっき、銀めっき、パラジウムめっき用の薬品を得意とする。これらの貴金属めっき市場では技術、シェア、サービスともに世界トップクラスに位置づける。5G/6G、自動車、生成AI向けのめっき市場が今後も成長をけん引。少数精鋭の研究開発型企業で完全無借金経営。
