2025年12月11日(木)8:50発表
日本 法人企業景気予測調査2025年10~12月期
【1】結果:10~12月期の景況感は改善が目立つ
2025年10~12月期の法人企業景気予測調査によれば、大企業における、足元の四半期(2025年10~12月期)の景況感は、小幅に改善し2四半期連続でプラス圏での推移となりました。中堅・中小を含め、足元の四半期での景況感は改善も、向こう半年の見通しは保守的で、景況感の低下が示唆されます(図表1)。
法人企業景気予測調査は資本金1000万円以上の法人を対象とした、自社の景況感や国内経済の見通しを調査するもので、BSI(ビジネス・サーベイ・インデックス)と呼ばれます。同調査では半年先までの見通しも示されることから、先行きの景況感を予測するうえでも参考となる指標です。
※BSIとは、企業に対し業績や景況感に加え、設備投資や雇用状況をアンケート調査し、ポジティブ(上昇、増加、改善、強気)な回答をした企業の構成比からネガティブ(下降、減少、悪化、弱気)な回答をした企業の構成比を差し引いて算出する指数です。数値がプラスであれば、ポジティブな見通しであり、逆にマイナスであればネガティブな見通しをもつ企業が多いことが示されます。
【2】内容・注目点:製造業は懸念ありも設備投資など底堅く推移か
全体における個々の企業の景況感は、堅調な印象です。先行きについては不確実性がある中で、保守的な見通しも、底堅く推移する見込みといえるでしょう(図表2)。
一方で懸念は製造業で、先行きの見通しは企業規模問わず、悪化・伸び悩む見込みとなりました(図表3)。やはり関税影響などにより業績下押しの懸念が残っているものと考えられます。中長期的にはサプライチェーンの分散などの資本支出も必要と考えられ、景況感の改善には時間を要するものと想定されます。
製造業の設備投資見通しは、底堅く推移する見込みです(図表4)。上述の通り、景況感は伸び悩むと考えられますが、設備の更新投資や昨今のAI関連の投資など、必要性の高いものに資金が向かうでしょう。
足元で、政府は「投資促進減税」の議論をしています。原案では投資額の7%を法人税額から控除するといった内容で、これが実現すれば企業の設備投資需要が高まる公算が高いでしょう。
製造業においては、フィジカルAI(情報をリアルタイムに認識する、ロボットや自動運転などが自律的に行動・作業するAI)のニーズも相応にあると考えられ、中長期的な設備投資需要は拡大するものと想定しています。
【3】所感:そう悪くなかった2025年を経て、2026年はポジティブに反転できるか
2025年はトランプ米大統領の就任に始まり、4月には米国による関税影響などから、企業の景況感・業績は伸び悩むものと考えられていました。関税分を価格転嫁するといった企業行動もそこまで見られず、その一方で堅調な業績を残すことができた点は評価できるのではないかと思います。
市場は2026年(決算期では2027年3月期)の業績動向などに視点を移す時期ですが、逆風下でも堅調な業績を残せた背景を考えると、来期はある程度ポジティブな想定ができるのではと想像しています。
マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太
