瀬戸内海に浮かぶ直島。草間彌生氏のかぼちゃアートを思い浮かべる方も多いかと思います。2021年8月の台風9号で黄色のかぼちゃが海に流され破損したものの、修理されちゃんと戻ってきたというニュースがありましたが、実は直島には草間氏のかぼちゃは2つあります。別々のところに展示されているので2つ同時に鑑賞することはできないのですが、先週末、赤かぼちゃのほうを見てきました。

赤かぼちゃは中にも入れるんですよ。島には海外からの観光客もたくさんいてかぼちゃは大人気でした。現代アートの島、直島には今年5月に「直島新美術館」もオープン、今回こちらを鑑賞する機会にも恵まれました。脳内が「?!」となる前衛的すぎる作品もありましたが、中国出身・蔡 國強氏の「ヘッド・オン」という狼の展示は圧巻。狼の群れが成す躍動感と、一匹一匹の個体の意思が鮮明に表現された細やかさに色々考えさせられました、おすすめです。

実はアート鑑賞で旅行に行ったわけではなくて、先週は直島にある三菱マテリアルの直島製錬所を見学させていただいてきました。海外から輸入した銅鉱石から電気精錬によって高純度化された電気銅を精製する技術、そしてその過程で出てくる金銀スライムが金塊になるまでを勉強してきたのです。

近日中に動画でレポートしますが、厳しく定められた規則、ルールを徹底して遵守することで受け継がれてきた高い技術に感心したというだけでなく、それだけでは完成しない職人の技があることにとても感銘を受けました。私は日々PCの前に座って情報のインプット、アウトプットを繰り返して仕事をしていますが、いつAIに置き換わっても不思議はありません。

11月4日のつぶやきでも書きましたが、あらゆる仕事がAIに置き換えられていく中で、AIに置き換えることができない職人の技を見ることができて感激いたしました。危険を伴う作業に真摯に取り組む工場の皆様にはリスペクトしかありません。

日本国内の銅事業は中国に製錬所が増えた影響で苦戦が続き採算が悪化していると報じられていますが、先般11月11日に三菱マテリアル、JX金属、三井金属、丸紅の4社が銅事業の一部の統合に向けた基本合意書を締結というビッグニュースがありました。こうした技術の継承と競争力強化に向けた大きな一歩です。日本のものづくりが世界の市場で再び存在感を示すものと期待しています。