東京市場まとめ
1.概況
日経平均は94円安の50,282円と続落して寄付きました。先週末の米国市場は、FRB(米連邦準備制度理事会)の追加利下げ観測が後退したことが株式市場の重荷となり、ダウ平均やS&P500株価指数が下落し、日本市場も売りが優勢でのスタートとなりました。朝方は下げ幅を拡大し、節目の5万円台を割り込むと9時16分に530円安の49,845円をつけ、本日の安値を更新しました。その後は押し目買いも入り、持ち直すと10時前には一時上昇に転じる場面もみられましたが、売りが優勢の基調は変わらず365円安の50,011円で前引けとなりました。
後場は緩やかながら下げ幅を縮小する展開となりました。大引け間際に再び上昇に転じるも最終的には52円安の50,323円で続落して取引を終えました。TOPIXも12ポイント安の3,347ポイントと小幅に続落しました。
新興市場では東証グロース250指数が10ポイント安の698ポイントで3日続落して取引を終えました。
2.個別銘柄等
三越伊勢丹ホールディングス(3099)は11.3%安の2,333.5円をつけ、4日ぶりとなる大幅反落となりました。高市早苗首相の台湾有事を巡る発言を受け、中国外務省が14日、中国国民に対して日本への渡航を当面控えるよう注意喚起したことで、中国からの訪日客が減少し、同社のインバウンド収益に悪影響が出るとの警戒感が売りを呼びました。
サイバーエージェント(4751)は10.4%安の1,394.5円をつけ、3日続落となる大幅安となりました。14日、2026年9月期(今期)の当期純利益が250億-300億円(前期比21.1-5.3%減)を見込むと発表し、市場予想を下回る会社予想が嫌気され売りが優勢となりました。
三井住友フィナンシャルグループ(8316)は一時5.9%高の4,586円をつけ、年初来高値を更新しました。14日、2026年3月期(今期)の当期純利益が従来予想から2,000億円の上方修正となる、前期比27.3%増の1兆5000億円を見込むと発表したことに加え、上限1,500億円の自社株買いも発表し、これらを好感した買いが入りました。
日本ペイントホールディングス(4612)は0.6%高の1,003.5円をつけ、6日続伸となりました。14日、2025年12月期の第3四半期決算を発表し、製品の値上げなどが貢献し営業利益が前年同期比36.4%増の1,905億円となり、この増益を好感した買いが入りました。3月に買収した米化学企業AOCも収益増に貢献しました。
独立系航空会社のスカイマーク(9204)は一時、4.0%安の381円をつけ、年初来安値を更新しました。中国外務省が自国民に日本への渡航自粛を呼びかけたことを受けて、インバウンド関連の株価が軒並み大幅安となっている中、旅行需要の減少など、同社にも悪影響が出るとの懸念が売り材料となりました。
VIEW POINT: 明日への視点
先週末の米国市場での追加利下げ期待の後退や、中国外務省が日本への渡航を控えるよう注意喚起したことでインバウンド関連銘柄が売られるなど、日本市場は軟調な推移となりました。一方で安値では押し目買いも入り、全体的な基調が弱まっているとまでは言い難いでしょう。
国内では高市政権が進める経済政策に注目が集まっており、17兆円台と大規模な経済対策を講じる可能性が報じられています。財政への懸念が残るものの国内経済刺激策が好感されれば、一段の株高も視野に入ると考えられます。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)
