モトリーフール米国本社 – 2025年9月15日 投稿記事より

デジタルバンキングの「ワンストップ・ショップ」の躍進

ソーファイ[SOFI]の株価は、過去12ヶ月間に270%(3.7倍)近く急騰しました。スマートフォンやインターネットで様々な金融サービスを提供するこのフィンテック企業は、売上・利益ともに力強く伸ばし、そしてエコシステム(経済圏)の拡大が投資家を再び呼び込みました。さらに、利下げ期待が追い風となりました。

急成長を遂げるソーファイは、果たして来年もこの勢いを維持できるでしょうか?ここでは同社のビジネスモデル、成長率、株価バリュエーションを改めて検証していきます。

ソーファイはもともと学生ローンの提供から始まりました。過去10年間に同社は住宅ローン、自動車ローン、個人ローン、クレジットカード、保険、相続サービス、株式取引ツールなどへサービス領域を拡大してきました。2020年には決済処理会社のガリレオを買収して、2022年には米国の銀行免許を取得し、顧客に直接サービスを提供する完全デジタル銀行を立ち上げました。

ソーファイのデジタル専業アプローチは、従来の店舗型銀行よりもはるかに速い成長を可能にしました。オンライン金融サービスの「ワンストップ・ショップ」として膨大な顧客データを収集し、AIアルゴリズムの活用によりサービスを高速化・洗練化・自動化しています。

ソーファイはどのくらい成長しているのか?

2021年から2024年にかけ、ソーファイの会員数(年末時点)は、250万人から1,010万人へと4倍に増加しました。利用されている商品口座数は190万口座から1,470万口座に急増し、調整後年間売上高は10億1,000万ドルから26億1,000万ドルへと伸びました。年平均成長率は37%に達します。ここ1年でも会員数はさらに増え、新サービスの投入により拡大を続けています。

成長の主な原動力になったのは、1981年以降に生まれたミレニアル世代や1996年以降に生まれたZ世代の若年層でした。こうした世代の若者は旧来型の銀行よりも、スマートフォンなどのアプリでデジタル銀行にアクセスする方を好みます。また、ソーファイは無料の資産管理アプリ「リレー」をはじめ多様なサービスを提供することで、幅広い層の顧客を取り込みました。 同社は会員数が通年で約30%成長すると見込んでいます。

さらに、逆風だった2つの要因も解消されました。第1に2023年9月に、米国政府による学生ローンの返済凍結が終了しました。3年半に及んだ返済停止は学生ローンの成長を抑制していましたが、それが取り除かれました。 第2に2022年と2023年に急上昇した金利が2024年に急低下し、新たなローン需要が回復しました。

ソーファイの収益性は?

2025年上半期に、ソーファイの売上高と調整後利払い・税引き・償却前利益(EBITDA)の前年同期比成長率が、急上昇しました。また、米国会計基準(GAAP)ベースでも7四半期連続で黒字を維持しています。

ソーファイは年間で、調整後売上高が前年比約30%、調整後EBITDAが同44%増加し、EBITDAマージンは3ポイント上昇して28%になると予想しています。会員数の増加、融資件数の拡大、そして高利益率の手数料収益サービスの伸長が、利益拡大を後押ししています。

長期的な見通しは明るいか、ソーファイの1年後の株価見通しは?

アナリストによるコンセンサス予想は、ソーファイの調整後売上高が2025年に前年比31%、2026年に同23%増加するとみています。調整後EBITDAは2025年に前年比48%、2026年に同43%成長すると予想しています。これは、市場ではソーファイが最も急成長しているフィンテック株の1つとして評価されていることを示しています。本稿執筆時点のバリュエーションを見ると、2025年の予想PSR(株価売上高比率)は9倍、予想株価調整後EBITDA比率は32倍と、妥当な水準にあると思われます。

参考までに、成長が鈍化している決済処理企業ペイパル・ホールディングス[PYPL]の今年の予想株価調整後EBITDA比率は10倍、急成長しているアップスタート・ホールディングス[UPST]は同34倍となっています。ソーファイがアナリストの予想通りの成長を実現し、株価調整後EBITDA比率が現在と同じ約30倍で維持された場合、今後12ヶ月で株価はさらに35%上昇する可能性があります。短期的には金利動向のニュースに左右されやすいものの、長期的には見通しは明るいと言えるでしょう。

免責事項と開示事項 元記事の筆者Leo Sunは上記のいかなる銘柄の株式も保有していません。 モトリーフール米国本社はペイパルおよびアップスタートの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は、次のオプションを推奨しています。ペイパル2027年1月限月42ドル50セント・コールオプションのロング、ペイパル2025年9月限月77ドル50セント・コールオプションのショート。モトリーフール米国本社は情報開示方針を定めています。