2025年9月8日(月)14:00発表
日本 景気ウォッチャー調査2025年8月分
(その他:最新の家計調査・商業動態統計速報・消費動向調査・消費活動指数より)
【1】結果:小売売上など消費全般からは減速傾向がみられる
2025年7月の家計調査では、二人以上勤労者世帯の実質消費支出は、前年同月比4.6%増の33.8万円と5ヶ月連続となる前年同月比プラスとなりました。実収入は2ヶ月連続で実質減少となる同2.5%減の70.1万円と、収入の伸び悩みが確認されました。結果として可処分所得(収入のうち、税金や社会保険料を控除した所得、いわゆる手取り収入)は前年同月4.9%減となり、前回7月よりは持ち直すも、比較的大きな減少率での推移となっています(図表2)。
その他の消費指標を概観すると、小売売上高は経済産業省の基調判断では一進一退で据え置かれるも、頭打ちの様子で前年同月比0.3%増と伸びが鈍化し、また前月比では1.6%減と減速感が否めない内容となりました。消費マインドは2指数ともに底打ち傾向がみられ、一時よりもマインドの改善がうかがえる内容となりました。
【2】内容・注目点:4~6月期GDPは個人消費が上昇修正、基調続くかに注目
世帯消費動向指数とは、別名CTIミクロと呼ばれ「世帯における平均消費支出額」を指数化したものです。7月の二人以上世帯における、季節性を加味したCTIミクロは前月比2.0%上昇し、前回の6月に3.0%減と大きく下落していた反動もあって持ち直しました(図表3、青色)。一方で、日本銀行が算出する消費活動指数は引き続き横ばい圏の動きとみなせます。
本日発表された4~6月期のGDP二次速報では個人消費が上方修正され、GDP全体も前期比年率2.2%成長と大幅な上方修正となりました。小売売上高など供給サイドからは弱さがうかがえますが、今回のように底堅い消費動向が続けば、経済の押し上げにつながることから、引き続き消費動向に注目です。
【3】所感:先行きの消費は小休止か
消費マインドも緩やかに改善がみられ、前四半期(2025年4~6月期)の個人消費が上方修正されるなど、日本経済の底堅さがうかがえます。個人的には、足元で可処分所得の低下基調がみられる(図表2)ことから、今四半期(2025年7~9月期)も堅調な消費が続いていくことには懐疑的です。企業業績も、関税などの影響が次第に現れることで伸び悩むことが予想され、経済全体は若干の小休止となると想像しています。
マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太
