今週末の米雇用統計に注目
今週は国内で1日に2025年4~6月期の法人企業統計、5日に7月の景気動向指数と毎月勤労統計などが公表される。
米国では2日に8月のISM製造業景況感指数、4日にISMサービス業景況感指数、5日に8月の雇用統計が発表される。
なかでも最大の注目は雇用統計である。7月の雇用統計は非農業部門雇用者数(NFP)が予想を下回ったことに加えて過去分も大幅に下方修正されるなど「雇用統計ショック」といわれるほどの衝撃を市場にもたらすこととなった。
ジャクソンホール会議ではパウエル議長が労働市場の悪化に懸念を表明し、それが9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げ観測を高めることにつながった。市場は9月の利下げを8割がた織り込む。
だからこそ、この状況で9月の利下げが見送りになったら市場はパニックとなるだろう。そしてそのリスクはまだ残っていると考える。
調整幅が大きくなるリスクに注意
上述した通り、7月の雇用統計で非農業部門雇用者数が大幅に減少したことが「雇用統計ショック」などと言われたが、そもそも非農業部門雇用者数の「前月比増減幅」というのは、振れやすい指標だ。それは統計の信頼性の問題ではなく、数字の絶対数の問題である。
非農業部門雇用者数そのものは1億6000万人弱である。正確には6月が1億5946.6万人で7月が1億5953.9万人であった。その伸びが7万3000人だったことに市場は驚き、それをショックと言ったのだが、そもそも7万3000人伸びたというのは6月の1億5946.6万人に対して0.05%に過ぎない。 そのオーダーの数値を予想すること自体ナンセンスだし、それが予想を上回った下回ったと言って騒ぐのはもっとばかばかしい。
NFPは無論、重要な指標だがそれは数ヶ月単位の推移、趨勢を見極めるべきものであって、単月の下振れはここで見た通り、ある意味、起きて当然のものである。そうであるなら、また上振れも然りだ。8月のNFPが上振れない保証はどこにもない。逆・雇用統計ショックの可能性もじゅうぶんあるだろう。
今週の雇用統計はその意味でいつも以上に重要かつ波乱の芽を含む。要警戒であるため週末にかけて様子見か、もしくはリスクヘッジのためのポジション調整が起こると思われる。株式相場は高値圏にあるだけに、調整幅が大きくなるリスクにも備えておきたい。
予想レンジは4万2000円~4万4000円と幅広いレンジを見込む。