お盆休み、株式相場は大盛り上がりです。資産ポートフォリオを見直し、投資戦略を考え直している方も多いのではないでしょうか。昨日、高値警戒の声が上がる中でも、日経平均株価は連日最高値を更新し、米国株市場も、S&P500株価指数が記録を塗り替えています。熱気に包まれる相場も、明日や明後日、あるいは1年後、5年後、10年後に長期チャートとして広げて見てみれば、長い線の中の「ひとつの点」にすぎません。これまでも、上がったり下がったりを繰り返しながら、時間をかけて相場全体が成長してきました。長期投資において大切なのは、日々の積み上げを淡々と続ける姿勢だと考えています。

この「ひとつの点」という感覚は、私の人生にもあります。小学校2年生で始めた珠算(そろばん)に夢中になり、誰に言われるでもなく毎日練習を続けました。時には思うように珠をはじけず涙を落とし、珠がくっついてさらに悔しくなることも。それでも続け、4年生で3段を取得、市か何かの大会で優勝しました。ところがその瞬間、喜びに満ちた先生を横目に、私は「これで珠算は終了」と心の中で決め、実際にやめました。珠算の道に生きるわけではない。とても現実的な子どもだったのです(笑)。

その現実感は、親も同じだったようです。社会人になって久しぶりに実家に帰ると、ピアノも、その上に飾られていた賞状やトロフィーも、すべて跡形もなく片付けられていました。思い出として残すより、それらを通過点として整理してしまうあたり、私より一枚上手の現実派だったのかもしれません。

そんな私にとって「最高値」という言葉は、ゴールではなくその後の行動を促すサインです。株価も人生も、過去と未来は連なっていて、一区切りを迎えた瞬間にはすでに次の物語が始まっている。数字は事実を示すだけで、その意味を決めるのは私たち自身。投資も人生も、意味と意志を込めて歩み続けたいと思います。