東京市場まとめ
1.概況
日経平均は425円高の38,779円と反発で寄付きました。トランプ米大統領は23日、イスラエルとイランが「完全な停戦で合意した」と自身のSNSに投稿し、地政学リスクの懸念がいったん和らいだことで、幅広い銘柄に買いが入りました。寄付きから上げ幅を拡大し、9時10分に636円高の38,990円をつけ本日の高値を更新しました。その後は伸び悩み、荒い値動きでの推移となった日経平均は415円高の38,769円で前引けとなりました。
後場は堅調な推移となるも、イスラエルとイランの停戦合意に向けては不安定な状況が続いているとの見方もあり、上値の重い展開となりました。一時、38,850円程まで上昇するも、その後は伸び悩み大引けにかけて上げ幅を縮小した日経平均は436円高の38,790円で取引を終えました。
新興市場では東証グロース250指数が続伸、0.8%高で取引を終えました。
2.個別銘柄等
INPEX(1605)は6.8%安の2,003円をつけ大幅反落となりました。中東情勢に対する懸念が和らいだのを背景に、日本時間24日朝の取引でWTI原油先物相場が前週末比7.2%安と一段の下落となったことで、同社の資源販売に関する採算改善の思惑が後退したとの見方から売りが優勢となりました。
レーザーテック(6920)は13.3%高の18,355円をつけ、反発となりました。米金利低下を受け、前日の米国市場ではハイテク株高となり、その流れを引継いで買いが優勢となったほか、国内証券が同社の投資判断を「中立」から「買い」に格上げ、目標株価を従来の16,000円から22,000円に引き上げたことも、買い材料となりました。
川崎重工業(7012)は1.6%高の10,450円をつけ、5日ぶりに反発となりました。日本経済新聞が同社は「2031年3月期に売上高にあたる連結売上収益(国際会計基準)を2025年3月期(2兆1293億円)の1.4倍の3兆円に伸ばす方針」と報じ、これを受けて防衛関連銘柄の一角に位置付けられる同社の着実な業績の伸びを期待した買いが入りました。
日産自動車(7201)は2.5%安の336.5円をつけ、4日続落となりました。24日に開催した定時株主総会で、2025年4~6月期の営業利益が2,000億円の赤字(前年同期は9.95億円の黒字)を見込むとし、市場予想コンセンサスよりも赤字幅が大きくなる見通しを嫌気した売りが優勢となりました。
自動運転向けの3Dデータを提供するダイナミックマッププラットフォーム(336A)は7.7%高の1,250円をつけ、大幅続伸となりました。24日、日本マイクロソフトと連携し高精度3次元地図データ生成におけるAI技術導入加速に向けた取り組みを開始したと発表し、これを材料視した買いが入りました。
VIEW POINT: 明日への視点
日経平均はイスラエルとイランを巡る中東情勢の緊張緩和を期待した買いが優勢となり大幅高となりました。両国から正式な発表も見られず、依然として中東情勢の不透明感は残るものの、市場にはリスクオン姿勢がうかがえます。23日ボウマンFRB(米連邦準備制度理事会)副議長も早ければ7月の利下げを指示する可能性に言及し、先週のウォラーFRB理事に続き、利下げをほのめかす印象が持たれます。
今晩も、パウエル議長のほか、バーFRB理事やFOMC(米連邦公開市場委員会)メンバーであるニューヨーク連銀・ボストン連銀総裁の発言の場が予定されており、政策金利の見通しに関する発言に注目です。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)