東京市場まとめ
1.概況
日経平均は55円高の38,366円と続伸で寄付きました。中東情勢を巡る過度な警戒が後退したことに加え、前日の米国市場にて主要3指数が揃って上昇したことで日本市場も買いが優勢でのスタートとなりました。またドル円相場が円安・ドル高で推移したことも追い風となり、前場は堅調に推移し、11時6分に269円高の38,581円をつけ本日の高値を更新しました。その後は上げ幅を縮小し、189円高の38,501円で前引けとなりました。
後場は、日銀の金融政策決定会合の結果が伝わるも、事前の市場予想に沿った内容であったことから、特段の材料とならず、日経平均は高値圏で一進一退の推移となりました。38,450円から38,550円のレンジで推移した日経平均は、最終的に225円高の38,536円で大引けとなりました。
新興市場では東証グロース250指数が反落、0.2%安となりました。
2.個別銘柄等
三菱商事(8058)は1.1%安の2,857円をつけ反落となりました。米国のエネルギー開発会社、エーソン・エナジー・マネジメントの買収へ向け交渉していると伝わり、またその買収額は同社にとって過去最大となる1兆円を超える可能性があるとされ、財務負担への警戒が売りを呼びました。
ソフトバンクグループ(9984)は2.1%高の8,675円をつけ続伸となりました。同社は保有する米通信大手Tモバイル[TMUS]の株式を売却し、最大49億ドル(約7,090億円)を調達することを目指していると伝わり、多額の現金を手に入れる可能性とその資金によるAI企業の買収等、運用収益の改善が見込めるとの期待から買いが入りました。
村田製作所(6981)は1.1%高の2,107.5円をつけ続伸となりました。腕時計などに使われるボタン電池事業を大手電子部品メーカーのマクセル(6810)に売却すると発表し、業績の落ち込みが目立つ電池事業の再建を期待した買いが優勢となりました。
仮想デスクトップのソリューションを展開するアセンテック(3565)はストップ高水準となる20.5%高の1,766円をつけ年初来高値を更新しました。オリックス(8591)が同社に買い付け価格は1株あたり1,680円でTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表し、前日終値(1,466円)を上回る水準であったことから買いが集まりました。
ドローン開発のTerra Drone(278A)は6.4%安の5,420円をつけ3日続落となりました。16日、2026年1月期の第1四半期決算にて、体制拡大やM&A(合併・買収)などに伴う費用が想定よりも増加したことで、最終損益が1.49億円の赤字であったと発表し、赤字を嫌気した売りが出ました。
VIEW POINT: 明日への視点
中東情勢の緊張緩和と日銀の金融政策決定会合も無難に消化したことで、日経平均は総じて堅調な推移となりました。明日の材料は、本日夜間に発表される5月の米小売売上高と米輸入物価指数の発表があげられます。小売売上高は前月比0.7%減と減速が予想されており、米経済の柱である消費の減速が示されるかに注目です。輸入物価は前月比0.3%の低下が見込まれており、市場予想では関税による価格転嫁は現れないものとされていますが、予想通りになるかに注目です。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)