東京市場まとめ
1.概況
前日の米国市場にてハイテク株高となった流れを引継ぎ、日経平均は219円高の38,431円で寄付きました。値がさ株である半導体関連銘柄に買いが入り、寄付き直後の9時9分に318円高の38,529円をつけ本日の高値を更新しました。しかし、買い一巡後は戻り待ちの売りなどが出たことから伸び悩み、上げ幅を縮小する展開となりました。ドル円相場が1ドル145円台まで下落したことが株式市場の追い風となり、前場は173円高の38,385円で取引を終えました。
後場は、アジア各国・地域の株価指数が上昇したことを背景に堅調な推移となりました。徐々に上げ幅を拡大し38,450円まで上昇するも、今晩、発表される5月の米CPI(消費者物価指数)の確認を前に上値を追う姿勢も限られ、一進一退での推移となった日経平均は最終的に209円高の38,421円で大引けとなりました。
新興市場では東証グロース250指数が3日続伸、0.6%高で取引を終えました。
2.個別銘柄等
三菱ふそうトラック・バスとの経営統合の最終合意を10日発表した日野自動車(7205)は一時ストップ安水準となる17.9%安の366.8円をつけ、大幅下落となりました。また、統合前に親会社のトヨタ自動車(7203)を引受先とした第三者割当増資を実施することも併せて発表しており、増資による希薄化の影響が懸念されたことで売りが優勢となりました。
KOKUSAI ELECTRIC(6525)は5.4%高の3,296円をつけ大幅反発となりました。国内証券が同社の目標株価を従来の3,000円から3,600円に引き上げ、これを材料視した買いが入りました。アナリストは「(データの長期保存に使う)NAND型フラッシュメモリー向けの投資の回復が到来する」と指摘しています。
第一生命ホールディングス(8750)は0.4%安の1,083円をつけ続落となりました。日銀の植田総裁が10日、足元の物価上昇率について「総合的に見て基調的物価上昇率はまだ2%に少し距離がある」と発言したことで、市場に先行きの金融引き締めに慎重になっているとの見方が広がり、これまで金利上昇による業績拡大期待で上がってきた金融株が売られました。
自動車向け機器のスタンレー電気(6923)は2.9%高の2,864円をつけ反発となりました。10日、発行済み株式総数(自己株式を除く)の23.47%にあたる3,500万株、金額にして800億円を上限とする自社株買いを実施すると発表し、大規模な株主還元を好感した買いが入りました。
ディスカウントストアのトライアルホールディングス(141A)は3.7%高の2,210円をつけ5日続伸となりました。5月の既存店売上高(速報)は前年同月比3.6%増であったと発表し、既存店売上高は48ヶ月連続で前年を上回る等、売上高の着実な拡大を好感する買いが入りました。
VIEW POINT: 明日への視点
日経平均は4日続伸となりました。明日の材料は、今晩発表される5月の米CPI(消費者物価指数)があげられます。ヘッドラインの指数の市場予想では前年同月比2.5%上昇、コア指数では同2.9%上昇と共に前月から伸びが加速すると予想されています。一部には、関税分の価格転嫁が現れ始めるとされており、先行きにおいてインフレ再燃も意識されると考えられます。
一方で、市場予想を下回る結果となった際には、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げを後押しすると考えられ、今晩の発表に注目が集まります。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)