モトリーフール米国本社 – 2025年6月8日 投稿記事より
安定と高利回りを両立:注目はベライゾン
米国の代表的な株価指数であるダウ工業株30種平均は、上場している大型優良株30銘柄で構成されています。これらの企業は、米国で強固で知名度の高い企業から選ばれています。また、リスクが低い企業が多く、そのほとんどは配当を支払っています。そのため、ダウ指数の構成銘柄は、安全性の高い配当収入を求める投資家にとって、よい選択肢と言えるでしょう。
ダウ指数を構成する30銘柄の中で、ベライゾン・コミュニケーションズ[VZ]は配当利回りの高さで際立っています。本稿執筆時点で6%を超える配当利回りは、30銘柄の平均配当利回り(2%未満)の3倍強に相当します。
リスクが低く、利回りが高い配当株
配当利回りが高いことは、場合によっては、当該企業のリスクプロファイルが高いことを意味する場合があります。しかし、ベライゾンは、そうではありません。この通信業界の巨大企業は、膨大なキャッシュフローを生み出し、きわめて強固な財務内容を誇っています。
2024年、ベライゾンは369億ドルの営業キャッシュフローを生み出し、高速大容量の通信規格「5G」や光ファイバー網の維持・拡張のために171億ドルを設備投資に振り向けました。ベライゾンの手元には198億ドルのフリーキャッシュフローが残り、株主への配当金112億ドルを容易に賄うことができました。
残った余剰フリーキャッシュフローにより、ベライゾンは、財務基盤をさらに強化することができました。レバレッジ(負債/資本)比率は、2023年末の2.6倍から2024年末には2.3倍に低下しました。安定したキャッシュフローを生み出す企業にとっては堅実なレバレッジ比率であり、信用力の高さを示すA-/BBB+/Baa1という債券格付けを支えています。ベライゾンは長期目標として、レバレッジ比率をさらに1.75倍~2.0倍に引き下げることを目指しており、既に強固な財務基盤はさらに強化されるでしょう。
今後、配当がさらに増額する見込み
堅実なキャッシュフローと強固な財務基盤により、ベライゾンは着実な増配が可能でした。2024年9月、同社は18年連続で年間配当を引き上げ、約2%増額しました。これは米国の通信セクターでは最も長い連続増配記録です。
ベライゾンは将来も増配を堅持できると考えられます。顧客に対し、より高速のワイヤレス・ブロードバンド・サービスを提供するために、ベライゾンは5Gと光ファイバーへの投資を積極的に進めています。この戦略は、2025年の業績拡大を後押ししています。同社のワイヤレスサービス収入は第1四半期に2.7%増加し、業界最大の208億ドルに達しました。
一方で、ベライゾンの調整後の利払い・償却前・税引き前利益(EBITDA)は4%増加し、史上最高の126億ドルとなりました。また、資本的支出(設備投資)を控除した第1四半期のフリーキャッシュフローは36億ドルと、前年同期を34%上回りました。
ベライゾンは2025年、通信ネットワークを維持・拡張するための設備投資として175億~185億ドルを予算に計上しています。その結果、ほぼ同額のフリーキャッシュフローが手元に残り、配当を賄うのに十分であるとともに、財務基盤をさらに強化することが可能です。
ベライゾンは財務面の柔軟性を活かし、同業のフロンティア・コミュニケーションズ[FYBR]を買収しようとしています。負債を含めた200億ドル全額を現金取引とし、2026年初めの取引完了を目指しています。この買収により、ベライゾンの光ファイバー網は大幅に拡張され、年間少なくとも5億ドルのコスト削減が見込まれています。
ベライゾンは、買収完了に必要なフロンティアの借入金返済原資として、増加し続ける余剰フリーキャッシュフローを活用する予定ですが、買収完了後2年以内に、余剰フリーキャッシュフローは現在の水準に戻ると予想されます。それによって追加される資金の自由度が高まり、ベライゾンはその資金を自社株買いに利用する可能性があります。資本投資やフロンティア買収がもたらすフリーキャッシュフローの増加により、ベライゾンは利回りの高い配当を着実に増やし続けることが可能になるでしょう。
信頼できる安定収入
ベライゾン株は、利回りが高い優良配当株としてはめったにない存在です。投資家に債券の利息のような配当を提供しつつ、増配や株価上昇がもたらす潜在的な利益拡大余地もあります。こうした特徴により、信頼できるインカムゲインを求める投資家にとって、ダウ構成銘柄で配当利回りが最高クラスのベライゾンは、理想的な選択肢になるでしょう。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Matt DiLallo はベライゾン・コミュニケーションズの株式を保有しています。モトリーフール米国本社は、ベライゾン・コミュニケーションズを推奨しています。モトリーフール米国本社は情報開示方針を定めています。