2025年6月2日(月)8:50発表
日本 法人企業統計2025年1~3月期
【1】結果:業種間で売上・利益はまちまちの結果に

財務省が発表した四半期別法人企業統計では、2025年1~3月期の企業売上は、前年同期比4.3%増と16期連続でのプラスとなりました。売上については、製造業・非製造業ともに過去1年と比較しても伸びが加速した一方で、経常利益は製造業が減益転換となり、全産業においても伸びが鈍化しました。設備投資は、全産業において前年同期比6.4%増と市場予想の3.8%を上回り、前の期(2024年10~12月期)から持ち直しが確認されました。

資本金レンジごとに売上・経常利益を比較すると、中堅(1億~10億円)企業の業績の伸びが堅調である一方で、大企業(10億円以上)は増益率が前の期が+6.5%であったところ、+1.7%と鈍化傾向が見られる内容となりました。中小企業は、売上・経常利益ともに前の期と比較すると伸びの鈍化が見られました。
【2】内容・注目点:製造業は円高が重荷、非製造業はマージン改善

営業利益率の改善幅を確認すると、製造業は業種間でまちまちであった一方で、非製造業は広範なセクターで利益率の改善が見られました。製造業では、業務用機械や汎用機械といったセクターにおけるマージンの悪化が目立っています。これらの2セクターは売上が微増であった半面、減益転換となったことが主因で、製造業においては期間中の円高米ドル安の進行が利益を下押ししたものと考えられます。一方で、円高基調の中でも電気機械や化学セクターはマージン改善が見られました。

非製造業では、不動産や建設、サービスといった人件費率の高いセクターでのマージン改善が確認されました。運輸・郵便を除いた7業種において営業増益となり、内需は一定の堅調さがうかがえる内容であったと考えられます。
【3】所感:GDPの設備投資2次改定は限定的か

ソフトウェアを除く設備投資は、前期比1.8%増と前の期の10~12月期から伸びが加速しました。本指標はGDPの2次速報にて用いられ、図表4からも2指標の歩調が一致していることがわかります。1次速報でGDP民間設備投資は前期比実質1.4%増であり、2次速報での上方修正が期待されますが、小幅なものが予想され、サプライズには乏しいでしょう。
先行きの設備投資は、足元の資本財の出荷動向等から判断すると、大きく低下している様子はないものの企業が保守的な行動をとる要因は多々あり、今期については低下が見込まれるものと考えられます。
マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太