トランプ政権の関税政策 世界経済への悪影響懸念が再度台頭

先週、トランプ米大統領は、自身のSNSに、中国が米国との「合意を完全に破っている」と投稿した。米中貿易交渉の行き詰まりを懸念して先週金曜日の米国株市場ではダウ平均が300ドルあまり下げる場面もあった。さらにトランプ米大統領は30日、海外から輸入する鉄鋼・アルミニウム製品にかける追加関税を現在の税率25%から倍の50%に引き上げると表明した。 これは先週の米国株市場に織り込まれていないニュースだ。週明けの東京市場がこのニュースを受けて反応する最初のマーケットになる。おそらく大幅安で始まるだろう。

欧州委員会はトランプ米大統領が鉄鋼・アルミニウム製品への追加関税を25%から50%に引き上げると発表したことに対し、早速「対抗措置の用意がある」と表明した。一時は態度を軟化させていたトランプ政権の関税政策だが、再び世界経済に悪影響を及ぼす懸念が台頭してきた。

日米の関税交渉は4回目の閣僚協議が先週終わり、日本と米国は6月中旬の主要7カ国首脳会議(G7サミット)前に再び協議することで一致したと伝わっている。カナダでのG7サミットにあわせて、石破茂首相とトランプ米大統領が会談する予定。首脳間で一定の合意を打ち出すことを視野に入れている。となると、それまでは最終決着はなく、この問題は宙に浮いたままとなる。

これらを踏まえて今週は市場センチメントが悪化し、軟調な展開となりそうだ。

経済指標は重要な発表が目白押し

経済指標としては今週は重要な指標の発表が目白押し。国内で本日2日に1~3月期の法人企業統計、3日に5月のマネタリーベース、5日に4月の毎月勤労統計(速報値)、6日に4月の家計調査と景気動向指数(速報値)が発表される。

米国では2日に5月のISM(米サプライマネジメント協会)製造業景況感指数、3日に4月の製造業受注、4日に5月のISMサービス業景況感指数、そしてFRB(米連邦準備制度理事会)が地区連銀経済報告(ベージュブック)を発表する。6日には5月の雇用統計が公表される。

金利動向に関わる日銀要人発言と長期債入札にも注目

日本株にとって重要な株価の決定要因である金利の動きが注目されているが、その観点からは要人発言に注目だ。3日に日本銀行の植田和男総裁が内外情勢調査会で、7日に内田真一副総裁が日本金融学会で講演する予定。 さらに今週は重要な国債の入札がある。3日に10年債入札、5日に30年債入札が実施される。需給懸念や20年債入札の記録的な不調を受けて、30年債利回りは過去最高を更新した。国債入札では30年債入札が波乱なく消化されるかおおいに注目したい。

予想レンジは3万7000円~3万8500円とする。

3月期決算企業の期末配当金の支払いが本格化することが、需給面での下支えになる