エヌアールジー・エナジー[NRG]、AI普及でデータセンターの電力需要増加
発電事業を手掛けるエヌアールジー・エナジー[NRG]が発表した2025年1-3月期決算は売上高が前年同期比16%増の85億8500万ドル、純利益が48%増の7億3300万ドルとなりました。調整後EPS(1株当たり利益)は2.68ドルで、LSEG(ロンドン証券取引所グループ)がまとめた市場予想の1.49ドルを79.6%上回っています。
電力需要の増加を背景に売上高が伸びる中、営業費用が14%増にとどまり、営業利益は30%増の11億3400万ドルに達しました。さらにその他支出を圧縮したことで最終利益ベースの利幅が広がっています。ラリー・コーベン最高経営責任者(CEO)は「電力需要が増える中でグループのあらゆる部署が顧客と市場のニーズに高いレベルで対応した」との見方を示しています。
地域別では東部地区が好調で、売上高が29%増の46億100万ドル、調整後EBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)が35%増の4億7400万ドル。テキサス州は売上高が9%増の24億3500万ドル、調整後EBITDAが37%増の2億2900万ドルです。
中核事業は化石燃料による火力発電
エヌアールジー・エナジーの中核事業は化石燃料を使う火力発電です。2024年末時点の発電能力は1万3081メガワット(MW)で、電源別では石炭が6727MW(全体の51%)、天然ガスが5685MW(43%)、石油が455MW(3%)、太陽光が214MW(2%)です。
電源別で化石燃料の割合が98%に上るため、環境保護に重点を置く民主党政権では政策面の逆風もありましたが、環境重視を敵視するかのようなトランプ政権の誕生は追い風です。例を挙げれば、トランプ大統領は2025年4月、石炭火力発電所が出す有害物質の基準について、バイデン政権時に強化された規制の順守の猶予を決めています。
さらに5月にはLSパワー・エクイティー・アドバイザーズから複数の発電所を買収する計画を発表し、発電能力を大幅に引き上げる方針を打ち出しました。米国では人工知能(AI)の開発に必要なデータセンターの開設が進み、電力需要の増加基調は続いています。
年初来上昇率はS&P500構成銘柄でトップ
こうした流れを受け、エヌアールジー・エナジーの株価は急上昇しています。年初から5月20日までの年初来上昇率は77.0%となり、S&P500の構成銘柄でトップです。2位のパランティア・テクノロジーズ[PLTR]の66.1%、3位のウーバー・テクノロジーズ[UBER]の52.3%を大きく引き離しています。
ガイダンスでは2025年12月通期の調整後純利益が13億3000万-15億3000万ドル、調整後EPSが6.75-7.75ドル。調整後EBITDAが37億2500万-39億7500万ドルになるとの見通しを示しました。2025年2月に発表した予想を据え置いています。


アプライド・マテリアルズ[AMAT]、半導体システム部門が堅調
半導体装置のアプライド・マテリアルズ[AMAT]が発表した2025年2-4月期決算は売上高が前年同期比7%増の71億ドル、純利益が24%増の21億3700万ドルとなりました。非GAAP(米国会計基準)のEPS(1株当たり利益)は2.39ドルで、LSEGがまとめた市場予想の2.31ドルを3.3%上回っています。
純利益が四半期ベースで過去最高を更新し、非GAAPのEPSが市場予想から上振れたにもかかわらず、決算発表直後は売り優勢の展開となりました。上振れの幅が投資家の期待に届かなかったとみられています。
業績自体は良好で、四半期ベースでみると、売上高は2024年11月-2025年1月期に次いで過去2番目の水準です。売上原価が3%増、営業費用が6%増にとどまり、営業利益は13%増の21億6900万ドルに達しています。
ゲイリー・ディッカーソン最高経営責任者(CEO)は「広範な能力と関連製品が力強い業績につながった」と説明しています。業界動向については「高性能でエネルギー効率の高い人工知能(AI)が半導体のイノベーションを促す成長エンジンであり続ける」と話しています。
売上高の74%を占める半導体システム部門
事業別では製造装置を含む半導体システム部門の売上高が前年比7%増の52億5500万ドルで、売上高全体の74%を占めています。営業利益は11%増の19億ドルです。この部門の売上高に占めるファウンドリー・ロジック・その他分野の割合は65%で横ばいです。DRAM用が前年同期の32%から27%に低下する一方、フラッシュメモリー用が3%から8%に上昇しています。
半導体製造装置の最適化や生産性の向上を支えるグローバルサービス部門は、売上高が前年比2%増の15億6600万ドルで、売上高全体の22%を占めています。営業利益は2%増の4億4600万ドルです。
ディスプレイ部門は売上高が前年比45%増の2億5900万ドルで、売上高全体の4%を占めています。営業利益は13.6倍の6800万ドルです。
決算発表時のガイダンスでは2025年5-7月期の売上高を72億ドル、非GAAPの粗利益率を48.3%、非GAAPのEPSを2.35ドルと予想しました。前年同期の実績比では売上高が6%増、非GAAPの粗利益率が19.5ポイント上昇、非GAAPのEPSが11%増となります。


シスコシステムズ[CSCO]、売上原価の抑制で採算が改善
ネットワーク機器のシスコシステムズ[CSCO]が発表した2025年2-4月期決算は売上高が前年同期比11%増の141億4900万ドル、純利益が32%増の24億9100万ドルとなりました。非GAAP(米国会計基準)のEPS(1株当たり利益)は0.96ドルで、LSEGがまとめた市場予想の0.92ドルを4.6%上回っています。
需要増で売上高が増える中、特にサービス部門の売上原価を抑制し、採算が改善しました。営業費用が小幅ながら前年同期を下回った効果も加わり、営業利益は46%増の32億200万ドルに達しています。ただ、比較対象となる前年同期に資産減損損失・リストラ費用として5億4200万ドルを計上しており、こうした特別要因を除く非GAAPの純利益は8%増の38億3100万ドルと伸び率が低くなります。
セグメント別の売上高は製品が15%増の103億7400万ドル、サービスが3%増の37億7500万ドルです。製品別ではスイッチやルーター、サーバー、関連ソフトウエアなどで構成するネットワーキング事業が8%増の70億6800万ドルと堅調でした。セキュリティー事業ではネットワークセキュリティーやID管理、脅威の検知と対応といった機能を持つハードウエアとソフトウエアを提供しており、売上高は54%増の20億1300万ドルに急拡大しています。
チャック・ロビンス最高経営責任者(CEO)は「人工知能(AI)成長の勢いはわれわれの安全なネットワーク製品に支えられている」とコメントしています。
決算発表時のガイダンスでは2025年7月通期決算の売上高を565億-567億ドル、非GAAPのEPSを3.77-3.79ドルと予想しました。前回の決算発表時には通期の売上高を560億-565億ドル、非GAAPのEPSを3.68-3.74ドルと予想しており、ともに上方修正しています。


ウォルマート[WMT]、Eコマースが2割増と成長
ウォルマート[WMT]が発表した2025年2-4月期決算は売上高が前年同期比3%増の1656億900万ドル、純利益が12%減の44億8700万ドルでした。調整後EPS(1株当たり利益)は0.61ドルで、LSEGがまとめた市場予想の0.58ドルを5.9%上回っています。
投資案件の評価損益などで減益となりましたが、本業は堅調です。売上原価と営業費用の抑制で営業利益は4%増の71億3500万ドルに達しています。
セグメント別では米国事業の売上高が3%増、営業利益が7%増です。売上高ではEコマースが21%増収と成長が続いています。ネットで注文して店舗で受け取るオーダーピックアップや配達といった手段がさらに普及しています。
国際事業は売上高が横ばい、営業利益が1%増と伸び悩みました。ただ、インドのネット通販子会社のフリップカートは売上高を伸ばしています。また、国際事業の広告収入はフリップカートのけん引で20%増えています。


キーサイト・テクノロジーズ[KEYS]、航空宇宙産業向けが堅調
電子計測器メーカーのキーサイト・テクノロジーズ[KEYS]が発表した2025年2-4月期決算は売上高が前年同期比7%増の13億600万ドル、純利益が104%増の2億5700万ドルでした。非GAAP(米国会計基準)のEPS(1株当たり利益)は1.70ドルで、LSEGがまとめた市場予想の1.65ドルを3.3%上回っています。
その他収益の計上で純利益が大きく伸びましたが、本業も堅調で営業利益は17%増の2億700万ドルでした。セグメント別では航空宇宙産業や防衛産業などに設計・検査用の電子計測器やソフトウエア、関連サービスなどを提供するコミュニケーション部門の売上高が9%増の9億1300万ドル、営業利益が6%増の2億3600万ドルです。自動車やエネルギー、半導体といった業界に計測器やソフトウエアを提供する電子産業部門は売上高が5%増の3億9300万ドル、営業利益が30%増の9200万ドルに達しました。
ガイダンスでは2025年5-7月期の売上高を13億500万-13億2500万ドル、非GAAPのEPSを1.63-1.69ドルと予想しています。

