モトリーフール米国本社 – 2025年12月21日 投稿記事より
市場を圧倒してきたアマゾン株の異変
アマゾン・ドットコム[AMZN]の株価が市場で出遅れているのは、同社にとっては珍しいことです。しかし、12月17日時点で株価上昇率は年初来2%にとどまっており、投資家は「何が起きているのか」を考える必要があるでしょう。アマゾンは競争の激化、規制上の問題、そしてマクロ経済の逆風に直面しています。それでも、楽観的に考えられる要素はあるでしょう。
2026年の業績が注目される中で、個人投資家が注視しておきたい重要な追い風要因やポイントをいくつかご紹介します。
アマゾンは巨額のAI関連投資を支出
アマゾンはAI戦略に巨額の資金を投じており、巨大クラウド事業者(ハイパースケーラー)として知られています。経営陣によれば、アマゾンは2025年、データセンターの建設や半導体開発などの設備投資(CAPEX)に1,250億ドルを支出する見通しです。この金額は、2026年はさらに増加する可能性が高いでしょう。
マイクロソフト[MSFT]やアルファベット[GOOGL]といった競合他社も、AIインフラの拡張に莫大な資金を投じています。アマゾンもこの動きに追随しなければ、革命的とも言える技術変革の中で取り残されるリスクがあります。
一方で、マクロ面や業界動向を無視することはできません。現在、AIバブルに対する懸念が広がっています。もし悲観的な見方が市場全体に浸透すれば、こうした巨額投資はタイミングを誤ったものと受け取られ、特に影響を受けやすいアマゾンのような企業に対して、投資家の信頼が損なわれる可能性があります。
AWSの成功はアマゾンの事業全体にとって極めて重要
アマゾンの巨額投資の多くは、業界トップクラスのクラウド・コンピューティング・プラットフォームであるアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)に関連するものです。AWSは同社にとって、重要な収益源であり、2025年第3四半期には収益が330億ドル、営業利益は114億ドルに達しました。2026年もAWSは投資家にとって最も注目すべき事業であり続けるでしょう。
AWSは、顧客企業が自社の業務にAIツールを活用しようとする強い需要を背景に、追い風を受けています。オープンAIはアマゾンの代表的な顧客であり、エヌビディア[NVDA]は長年のパートナーです。AWSが今後も成功を維持できれば、2026年のアマゾンの業績を押し上げる要因となるでしょう。
デジタル広告収入が急成長中
直近の四半期決算では、アマゾンのデジタル広告収入が前年同期比22%増の177億ドルに急拡大しました。アマゾンはアルファベットやメタ・プラットフォームズ[META]といった業界大手に肩を並べる存在になりつつあります。
アマゾンのオンライン・マーケットプレイスは出店業者にとって非常に価値の高い販売チャネルとなっています。人気の動画配信サービスであるアマゾン・プライム・ビデオも、視聴者の関心を収益化するための重要な手段になっています。深刻な景気後退が起きない限り、2026年もアマゾンのデジタル広告収入は高成長を維持するでしょう。
バリュエーションが上昇する可能性
時価総額が2兆4,000億ドルという巨大企業であることを考えると、現在のバリュエーションが割安に見えるのは意外かもしれません。本稿執筆時点のアマゾンの株価を見ると、EV(企業価値)/EBIT(利払い・税引き前利益)倍率は30.5倍と、過去10年間の中でも最低に近い水準にあります。
2026年はバリュエーションの上昇が投資家にとってリターンの重要な原動力になる可能性があります。好調な決算が示されれば、市場心理は改善するでしょう。この追い風は、短期的な株価の上昇のきっかけになるかもしれません。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Neil Patelは記載されたどの銘柄の株式も保有していません。モトリーフール米国本社はアルファベット、アマゾン・ドット・コム、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフト、エヌビディアの株式を保有し推奨しています。モトリーフール米国本社は次のようなオプションを推奨しています。マイクロソフト2026年1月限月コールオプション(行使価格395ドル)のロング、マイクロソフト2026年1月限月コールオプション(行使価格405ドル)のショート。モトリーフール米国本社は、情報開示方針を定めています。
