東京市場まとめ
1.概況
日経平均は60円高の37,590円で寄付きました。朝方は強含み、9時3分には130円高の37,659円をつけ本日の高値を更新しました。その後はドル円相場が円高に推移したことが重荷となり、早々に下落に転じました。今週開催予定の日米財務相会談を前に、神経質な展開となった日経平均は37円安の37,491円で前引けとなりました。後場も安値圏での推移となりました。
ドル円相場では1ドル143円台と午前よりも円高が進行したことが売り材料となり、後場は総じて軟調な推移となりました。また、日米財務相会談を前に持ち高を調整する動きも売りに拍車をかけ、引けにかけて下げ幅を拡大し230円安の37,298円と安値引けとなりました。
新興市場では東証グロース250指数が9日ぶりの反落となる0.9%安となりました。
2.個別銘柄等
東京海上ホールディングス(8766)は2.6%安の5,649円をつけ3日続落となりました。2026年3月期(今期)の当期純利益は前期比11.9%減となる9,300億円を見込むとし、市場予想コンセンサスを下回るガイダンスが嫌気され売りが優勢となりました。また、年間配当は前期から38円増配となる1株あたり210円とし、上限を1,100億円とする自社株買いも発表しましたが、市場では物足りないとされ株価は軟調な推移となりました。
IHI(7013)は一時5.6%高の13,480円をつけ年初来高値を更新しました。米CNNテレビが20日に「イスラエルがイランの核関連施設を攻撃する準備を進めているとの情報を米当局者が入手した」と報じ、地政学リスクの高まりが意識されたことで防衛関連銘柄に買いが入りました。
フジクラ(5803)は1.0%安の6,059円をつけ4日ぶりに反落となりました。国内証券が、同社の目標株価を従来の8,350円から7,800円に引き下げたことが売り材料となりました。担当アナリストは、円高ドル安の進行や米国の関税政策のマイナス影響を織り込み、今期の営業利益予想を従来から180億円引き下げとなる1,420億円としています。
極楽湯ホールディングス(2340)は4.7%安の482円をつけ3日続落となりました。2025年3月期の通期決算は当期純利益が前の期から10.4%増の7.6億円と上場来の最高益となるも、当面の好材料が出尽くしたとの見方から売りが優勢となりました。また、2026年3月期の業績見通しは未定としています。
Terra Drone(278A)は11.5%高の6790円をつけ4日ぶりとなる大幅反発となりました。米国でのドローンや空飛ぶクルマといった事業展開に向けて、三井物産(8031)と合弁会社設立の検討に関する覚書を締結したと発表し、今後の事業拡大への期待感から買いが集まりました。
VIEW POINT: 明日への視点
日経平均は230円安と反落で取引を終えました。本日発表された4月の貿易収支では、自動車の輸出額の低下が確認され、一部に関税の影響が現われたものと考えられます。
自動車における関税率の引き下げ交渉は難航する見通しで、また今週、株式市場の下落要因としてあげられる円高ドル安も相まって、自動車セクターを中心に上値の重い展開が続くと考えられるでしょう。自動車セクターは全体に占めるウェイトも大きく、当面は日本市場全体としても戻りを試すには時間がかかるものと考えられます。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)