注目点は日米の通商交渉 円安是正要求の懸念

5月16日付ストラテジーレポート『日本株 戻りも、目先はここまで』で述べた通り、日本株の戻りもいいところに来ている。今週は相場の材料に欠け、様子見ムードが強まるなか、3万8000円を挟んでの一進一退の展開か。

全般に手掛かり材料難のなか、唯一の注目点が日米の通商交渉だ。

まず加藤財務大臣とベッセント米財務長官の会談がセッティングされている。前回のように20日から22日までカナダで開く主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議の機会を利用して会談が調整されている。その席上で米国が円安是正を求めてくるのではないかとの思惑が再び浮上し、為替相場が不安定になっている。

発端は、米国と韓国が5月初めに為替政策を協議したと、事情に詳しい関係者が明らかにしたこと。この報道を受け外国為替市場で韓国ウォンが急伸する場面があった。

しかし、このニュースはニュースソースも定かでないので信ぴょう性に欠ける。繰り返し述べている通り、米国が円安是正を求めてくることは考えられない。詳しくは4/24付けストラテジーレポート『想定通りに「円安是正」はなくなった』を参照されたい。

加えて、政府は3回目の閣僚交渉に向けて、赤澤経済再生担当大臣が来週後半にワシントンを訪問する案を検討している。政府は、次回の閣僚交渉で自動車への関税の見直しに道筋をつけることも含め、具体的な成果を得たい考えとされる。日米交渉がクローズアップされるなか、自動車関連株が動意づくだろう。

米国債の格下げに日本の債券利回りにも上昇圧力

冒頭、述べた通り、再び米国による円安是正要求の懸念が円高圧力を生みやすい。しかし、それは杞憂に終わるだろう。為替が円高に動いて株価が下がるようなら、そこは押し目買いの好機と言える。

しかし、問題は再び金利に上昇圧力がかかっていることである。ムーディーズの格下げを受けた米国債には買いが入りにくくなり金利は上昇気味だ。日本の債券利回りも米国債に連動するので、日本の債券利回りにも上昇圧力がかかる。まして今回は財政悪化が債券売りの原因とあればなおさらだ。金利上昇が株価の上値を抑制し、日本株相場は上値の重い展開となりそうだ。

予想レンジは3万7200円~3万8200円とする。