日経平均は様子見で方向感に欠ける展開でスタートか
日経平均株価は先週末、約1ヶ月半ぶりに3万7000円台を回復し、終値は3万7000円台半ばまで上昇して取引を終えた。さすがにここまで来ると上値が重くなる水準だ。ここから上は3万8000円が意識されるが、3万8000円は日経平均が昨年下半期から半年にわたってもみあってきたレンジの下値に当たる。相場がいったん下に抜け、その後の反騰局面ではそれまでの下値が、今度は上値の重石となることが多い。
日本時間10日早朝の大阪取引所の夜間取引で、日経平均先物は60円安の3万7460円で引けた。週明けの東京市場でも日経平均は様子見で方向感に欠ける展開で始まりそうだ。しばらくは材料待ちの状況だろう。
米中協議でポジティブな材料が出てくるかどうかが焦点
最大の焦点は米中協議を受けて、関税引き下げなど具体的にポジティブな材料が出てくるかどうかだ。米国と中国は閣僚級協議をスイスのジュネーブで開始した。中国からは何立峰副首相、米国側はベッセント財務長官、グリア米通商代表部(USTR)代表が出席。初日の協議は約8時間にわたり、現地時間10日午後8時(日本時間11日午前3時)ごろ終了した。協議は11日までの予定で初日は米中とも声明は発表しなかったので現時点では何も詳細がわかっていない。今後のニュースフローで相場が大きく動く可能性が高く、注意して見守りたい。
国内外の経済指標、企業の決算発表など豊富な注目材料
経済指標は国内では12日に4月の景気ウオッチャー調査、15日に4月の工作機械受注(速報値)、16日に2025年1~3月期の国内総生産(GDP)速報値が発表される。 米国では13日に発表される4月の消費者物価指数(CPI)や15日に発表される4月の小売売上高と5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数などが注目の経済指標だ。
特に今回の米国CPIは注目度が高い。予想は横ばいにとどまる見通しだが、今回のCPIからトランプ関税の影響が反映されてくるのではという見方もある。予想を上振れたインフレとなればFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げが一段と遠のく要因ともなるし、そもそも米国経済のスタグフレーション懸念再燃にもつながるため警戒したい。
今週、国内では3月決算企業の決算発表が佳境を迎える。12日には三菱地所(8802)、ENEOSホールディングス(5020)、13日にはソフトバンクG(9984)、本田技研工業(7267)、ニトリ HD(9843)、フジクラ(5803)、日産自動車(7201)、大林組(1802)、14日にはソニーグループ(6758)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)、KDDI(9433)、15日には三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)、みずほFG(8411)、第一生命ホールディングス(8750)などが決算を発表する。これまでのところ想定以上に堅調な企業業績は相場の下支え要因となっているように見える。今週は日産を除けばトランプ関税の悪影響を直接被る企業の決算が少ないことから、株式相場にポジティブなイベント材料となるだろう。
予想レンジは3万7000円~3万8000円とする。