東京市場まとめ
1.概況
28日から29日にかけての米国市場の上昇を受け、日本市場でも買いが先行しました。日経平均は106円高で寄付いた後、一時183円高の36,023円まで上昇し、節目の3万6000円を回復する場面も見られました。しかし、日本市場は大型連休の谷間にあたるうえ、日米間の2回目の閣僚協議や日銀の金融政策決定会合の結果を控えており、上値は重い展開となりました。上げ幅を縮め、前場は62円高の35,902円で取引を終えました。
様子見ムードが一段と強まるなか、後場は26円高の35,866円で寄付きました。その後は、決算発表を受けて買われた個別株が相場の支えとなり、取引終盤にかけて上げ幅を拡大すると、一時は216円高の36,056円まで上昇し、この日の高値を更新しました。最終的には205円高の36,045円とこの日の高値圏で取引を終え、5日続伸となりました。
新興市場では東証グロース250指数が0.7%高と、3日続伸しています。
2.個別銘柄等
TDK(6762)は一時6.3%高の1,552円を付け、反発しました。28日に公表した2026年3月期(今期)の業績見通しではレンジ形式を採用し、その下限にあたる「リスクシナリオ」が相応に保守的と受け止められたことで、買いが広がっています。
ソニーグループ(6758)は一時7.3%高の3,777円を付け、反発しました。半導体子会社のソニーセミコンダクタソリューションズについて株式上場を前提にスピンオフを検討していると報じられたことが、買い材料視されています。
日本電気(6701)は一時8.0%高の3,506円まで上昇し、3日続伸となりました。28日に発表した2025年3月期の決算では、営業利益が前期比36.4%増の2,565億円と市場予想を上回り、ガイダンスも期待を上回る内容だったことから、好感された買いが入りました。
三菱電機(6503)は一時5.7%高の2,769円を付け、大きく反発しました。28日の取引終了後に発表した2026年3月期の連結業績予想で、営業利益が前期比9.7%増の4,300億円と過去最高益を見込むことに加え、自社株買いの実施も発表されたことが好感されました。
商船三井(9104)は一時16.1%安の4,422円を付け、急落しました。30日正午に発表した2026年3月期の業績予想で、大幅な減益見通しとともに配当の減額計画が示されたことから、嫌気された売りが広がりました。今期の業績予想は、売上高1兆7,000億円(前期比4.3%減)、経常利益1,500億円(同64.3%減)。配当は第2四半期末75円(前期実績180円)、期末75円(同180円)で、合計150円(同360円)への減額が見込まれています。
日立製作所(6501)は一時6.2%安の3,516円まで下落し、5日ぶりに大幅反落となりました。28日に発表した2026年3月期の連結純利益(国際会計基準)は前期比15%増の7,100億円を見込み、あわせて上限3,000億円の自社株買いも発表しましたが、市場の事前予想を下回ったため、失望売りが出ました。
オリエンタルランド(4661)は一時6.5%安の2,940円を付け、反落しました。28日引け後に発表した2025年3月期決算では、連結営業利益が前期比4.0%増の1,721億円となり過去最高を更新、特別株主優待の実施も発表しましたが、2026年3月期の減益見通しが嫌気されました。
VIEW POINT: 明日への視点
28日から29日にかけて米国市場が上昇した流れを引継ぎ、本日の日本市場も5日続伸となりました。一方で、日米間の2回目の閣僚協議や日銀の金融政策決定会合を控えるなか、様子見ムードも強く、上値は重い展開となりました。相場全体としては方向感に欠けるものの、個別銘柄では決算発表を受けた物色の動きが活発化しています。
本日も引け後には、国内で東京エレクトロン(8035)や村田製作所(6981)の決算が、米国ではキャタピラー[CAT]、マイクロソフト[MSFT]、クアルコム[QCOM]、メタ・プラットフォームズ[META]などの決算発表が予定されており、引き続き各社の業績やガイダンスに注目が集まります。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)