先週(4月21日週)の暗号資産市場は大きな上昇となり、一時1BTCあたり1,380万円付近まで上昇しました。特段、米貿易関税に進展があったわけでなく、市場は不確定要素が高い状況ですが、ショートカバーによる調整もあったのでしょう。

また、4月28日午前には中国の人民銀行が金融緩和を示唆したとの報道がありました。貿易関税のショックを一時的に凌ぐために、各国は金融緩和で対応してくることでしょう。コロナ禍での世界同時金融緩和を彷彿とさせられますが、資産バブルを起こす引き金にもなりかねないと個人的には考えます。

ただし、インフレ率は沈静化しきっていないため、世界各国の中央銀行も頭を悩ませていることでしょう。中国当局も米国への輸出が制限されてしまうため、一時凌ぎの緩和策を打たざるを得ないのだと思われます。しかし、先行きが不透明のため、緩和した資金の向かう先は資産のみとなり、実態経済に影響を与えるのはかなり難しいかもしれません。

BTC(ビットコイン)はSMA200張り付き相場か

【図表1】BTC/JPY 日足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

BTC/JPY日足チャート分析です。現在、SMA200(橙)付近で推移しており、到達してからここ数日、この周辺で推移を続けています。過去に何度もレジスタンスやサポートになったことがあるテクニカル分析のため、今回も上値を抑え込まれる可能性が高いと考えます。

また、SMA200を明確に下回った場合は、経験上、SMA200を超えて回帰するには2~3ヶ月程度かかる場合が多い印象です。現状は、まだ明確に割れてから1.5ヶ月ほどのため、もう少し調整期間があってもおかしくないでしょう。よって、今回のSMA200までの回復はまだダマシであり、この付近では利食いの逃げ場と考えています。

米国はすでに一律関税10%を世界各国に課しており、鋼やアルミニウム、自動車などには特定国に対して25%の関税を課しているため、すでに一定の輸入物価上昇圧力がかかっています。

5月に発表を予定されている4月の消費者物価指数は、前月比ベースである程度のインパクトを残すでしょう。つまり、金融引き締めをせざるを得なくなり、おそらくスタグフレーション懸念が台頭すると思われます。

まだこうしたリスクで反落調整が続くと個人的には予想しているため、BTCの買いは継続しつつも、ここからはポジション縮小を基本前提として考えたいと思います。

【図表2】BTC/JPY 4時間足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

BTC/JPY4時間足チャート分析です。MACDのダイバージェンスが発生しており、4時間足レベルでも反落を示唆しています。

日足のSMA200の上値も重いことから、テクニカル的な上値を抑える条件が増えてきています。やはり目先反落を意識しておいた方が良いでしょう。

冒頭でも触れた中国人民銀行の金融緩和示唆でも上昇しきらない場合、やはり一定の調整幅を覚悟しておいた方が良いと思われます。トランプ関税の交渉はまだまだ長引きそうだと思われるため、世界経済に徐々にダメージを与えることも考えられます。リセッション意識の高まりによって、投資家からの資金流入は限定的ではないでしょうか。

ETH(イーサリアム)もダイバージェンス発生中

【図表3】ETH/JPY 4時間足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

ETH/JPY4時間足チャート分析です。

現在、並行チャネルレンジを形成中で、下限ラインを割り込むとSMA90(水色)まで反落の可能性があると考えます。その後、調整反発が入ると思われるため、BTCのテクカル的な反落条件を併せると、ETHの下落調整もこの程度は想定しておくべきではないでしょうか。

BTC同様に、こちらもMACDのダイバージェンスを発生させていることから、短期的な上昇が強く続いたという証拠になります。個人的にはそろそろ厳しい形状になってきたとみており、反落に警戒する1週間にしたいと思います。

先週(4月21日週)の暗号資産市場は急激な回復相場となりましたが、上昇率は少しオーバーだったかもしれません。今週(4月28日週)の押し目買いエントリーは基本はなし、調整反落を待つといったスタンスでいきたいと思います。