現在のファンダメンタルズ:米国から円安是正の話が出る可能性は残る
先週(4月21日週)のレンジと終値(マネックストレーダーFXのBidレート)
・米ドル/円: 139.880円~144.025円 143.740円
・ユーロ/米ドル:1.13079ドル~1.15727ドル 1.13601ドル
・ユーロ/円: 160.986円~163.751円 163.306円
先週(4月21日週)の米ドル/円:為替調整思惑後退で円安に
先週(4月21日週)はG20財務相・中央銀行総裁会議に併せて開催された24日の日米財務相会談に注目が集まりました。以前から為替調整の話が出るのではないかと言われていたことに加え、トランプ米大統領がパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長解任に言及したこともあり、22日には一時139.880円と140円の大台を割り込む動きとなりました。
しかし大台割れでは米ドル/円の買いオーダーも目立ち、テクニカルにも2024年9月安値をトライできなかったことも重なりすぐに大台を回復、その後は米中間の貿易摩擦が緩和に向かっているとの見方から株高とともに円安の動きへと転じました。さらに日米財務相会談に先立って、ベッセント米財務長官の「特定の通貨目標は求めない」との発言が伝わったことで円一段高の動きは回避されました。
日米財務相会談では事前報道通りに特定の通貨目標は求められなかったようですが、トランプ米大統領が対米貿易黒字国の通貨安を問題としている事実は変わらないため、長期的な傾向としては円高トレンドという2025年に入ってからの流れが変わることはないでしょう。特にトランプ政権1期目と比べて通貨安が目立ったのは日本円なので、米国の株式市場が落ち着き、トリプル安懸念が無くなれば、円高方向への調整が望ましいといった発言が今後も出てくる可能性は高いと思われます。
今週(4月28日週)はカレンダー上では29日のみが祝日ですが、ゴールデン・ウィークはメーカーを中心に11連休となる企業も多く、日本からの市場参加者は減少傾向になります。今週から来週5月6日(火・祝)までは米ドル/円を中心に円関連の通貨ペアはニュースや発言の影響で振れやすくなるという点には注意しておきたいところです。
先週(4月21日週)のユーロ/米ドル:ユーロ/米ドル急騰後に反落もみあい
先週(4月21日週)のユーロ/米ドルは、21日がイースターで欧州市場が休場の中、日米財務相会談開催のニュースに反応し米ドル/円が一時円高に振れたこと、トランプ大統領がパウエルFRB議長解任に言及したことからユーロ/米ドルでも米ドル売りが進み、週初には1.15727ドルと2021年11月以来の高値をつけました。
その後、トランプ米大統領がパウエル議長解任を否定、日米財務相会談もほぼ無風通過となったことで、ユーロ/米ドルは反落後に1.13ドル台半ばを中心としたもみあいが続きました。先週は米中双方の発言に食い違いがあったとは言え一時期に比べれば米中間の摩擦が緩和に向かっていることも確認され、米国のトリプル安は収まり、特に株式市場は底堅い動きを見せました。
世界経済にとっては今後の米中間の関税協議の行方が最大の注目材料です。先週から対話の方向に動きが出てきたことから、5月中には何らかの協議が持たれることは確実だと思います。米国が最初に発表した相互関税リストにおける対中関税はこれまでの20%に34%を加えた54%でした。協議開始の税率はここになるでしょう。ここからどの程度下がるのかは、日本の24%、EUの20%がどこで落ち着くのかにもよりますが、それよりも下がることはないでしょう。20%~54%の間で着地点を見つける方向となるかと思います。5月は全金融市場の参加者が注目する米中間の関税協議進展具合となりそうです。
米ドル/円チャート(週足)、下降トレンドを継続、チャンネル下限は依然有効
長期的な判断は週足で行いますので、まずは週足チャートをご覧ください。

・上昇トレンド=週足終値が移動平均線の上にある
・下降トレンド=週足終値が移動平均線の下にある
トレンド転換の判断はダマシを排除するため、2週連続で移動平均線を上回るか、下回った時にトレンドが転換したという見方をします。
週足チャートでは、20週移動平均線を下回る展開と年初来高値からのレジスタンスライン(青)とそれに平行なライン内での動きを継続中という流れには変化はありません。先週(4月21日週)は140円割れの動きもあり平行ラインの下側のラインを下抜けようという動きになりましたが、その後の買い戻しでサポートラインは依然として有効という状態です(図表1)。
上限をトライした時と同じような流れですが、139円台後半は過去に何度もトライして反発している水準です。今後は2024年9月安値139.575円を下ヒゲではなく週足終値で下抜けられるかどうかが、一段の円高の動きに繋がるかどうかの重要なポイントとなっていきます。長期チャートでは139円台後半がネックラインにもなっていますので、もし139.575円を下抜けていくと大きく円高に動いていくこととなるでしょう。
米ドル/円チャート(日足)、144円台前半から半ばにかけては戻り売りが出やすい水準か
短期的な判断は日足で行います。

・買いシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を下から上に抜くGC
・売りシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を上から下に抜くDC
日足チャートでは、週初安値圏から反発する動きとともに4月23日にゴールデン・クロスが発生したため、短期的には米ドル/円は買いとなります。週足チャートの下降チャンネル下限で下げ止まったことと併せて現状は底堅い流れが続きやすい地合いです(図表2)。
ただ、週足チャートの長期トレンドは下げを継続中ですから、スタンスとしては次のデッド・クロスを待って改めて米ドル/円の売りで入るという方針が望ましいと言えます。仮にここから米ドル/円が買われても145円に戻す流れにはならず、144円台前半から半ばにかけては戻り売りが出やすい水準と見ています。
ユーロ/米ドル、長期トレンドはユーロ買い継続、短期的には調整局面入り
ユーロ/米ドルのチャートから見ていきます。


週足チャート(図表3)は移動平均線を上回った状態を維持しています。先週は高値を更に切り上げ2021年11月以来の1.15ドル台後半をつけました。ここよりも上の水準としては2021年1月高値1.23491と2022年1月安値の76.4%戻し1.16852ドルがターゲットとなっています。いったん反落したので現状は再び1.15ドルの大台をレジスタンスとして意識する流れとなります。
日足チャート(図表4)では3月28日のゴールデン・クロス以来久しぶりにデッド・クロスが4月25日に発生しました。短期的にはしばらく続いたユーロ/米ドル買いに対しての調整局面入りとなります。サポートの水準としては2024年9月高値と2025年2月下旬からの上昇ウェッジ(青)の上限が最初のサポートですが近すぎるため、次のサポートとして2024年9月高値1.12137ドルを考えておけば良いでしょう。
ユーロ/円、短期的には押し目が出やすい流れ
次にユーロ/円のチャートです。

ユーロ/円週足では移動平均線よりも上にあるためトレンド的には上昇トレンド継続中ではあるものの、依然として方向感が出にくい流れが続いているので、日足で判断します。(図表5)。

日足チャートでは4月7日にゴールデン・クロスが発生し、その後も終値移動平均線(青)が始値移動平均線(赤)を上回った動きを続けています。先週初にはデッド・クロスが発生する可能性が出ていましたが、結局上昇トレンドのままです(図表6)。
週足はあまり参考にはしていないものの上昇トレンド、日足も上昇トレンド継続中ということで、短期的にユーロ/円で押し目が出やすい流れは続きそうです。
ただ、ユーロ/円は日経平均株価との相関も高いため、米中間の今後の展開に暗雲ということになると株安の動きが出そうです。その場合にはユーロ/円が下げる可能性が高く注意が必要です。
それでは今週も良いトレードを!