循環的限界に達して終わる=円安終了パターンのひとつ

1990年以降の代表的な米ドル/円の循環的な高値(サイクル・トップ)は、1990年160円、1998年147円、2002年135円、2007年124円、2015年125円、そして2024年161円だ(図表1参照)。

【図表1】米ドル/円のサイクル・トップ(1990年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

これらの中で1998年147円、2015年125円、2024年161円は、過去5年の平均値である5年MA(移動平均線)を3割以上上回っていた(図表2参照)。米ドル/円が5年MAを3割以上上回ったところは、循環的な高値の限界圏(サイクル・トップ)だった。その意味では、米ドル高・円安トレンドが終了する条件のひとつは、サイクル・トップに達する、別な言い方をすると循環的な限界圏に達することだった。要するに、米ドル高・円安トレンドは、循環的な限界圏に達したところで、為替介入などをきっかけに終了するのがひとつのパターンだった。

【図表2】米ドル/円の5年MAかい離率とサイクル・トップ(1990年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

足下の米ドル/円の5年MAは137円程度なので、それを3割上回るのは178円という計算になる。その意味では、今回の米ドル高・円安が、循環的な限界圏に達するまで続くなら180円までは終わらないという見通しになる。

限界に達する前に円安が終了した2007年など=「バブル崩壊」で米ドル安が本格化

ただし、2002年や2007年などは、米ドル/円が5年MAを1割前後上回ったところ、つまり循環的な高値限界圏に達する前に上昇(米ドル高・円安)が終了した。このように円安が循環的な限界圏に達する前に終わり、円高に転換したのはなぜか。

2002年は、2000年から始まったITバブル崩壊の最終局面、そして2007年は信用バブル崩壊と「リーマン・ショック」が始まるタイミングだった。その意味では、いわゆる米国を主な起点とした「バブル」が破裂する中で、米国の金融緩和が本格化し、そのうえで日米金利差(米ドル優位・円劣位)縮小が加速し、米ドル安が本格化した結果として円安トレンドが終了、円高へ転換したということだったのではないか(図表3参照)。

では今回も米国発の「バブル崩壊」が起こり、米ドル安が本格化する結果として円安は循環的な限界に達する前に終わり円高へ転換する可能性はあるだろうか。

【図表3】米ドル/円と日米政策金利差(2000年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

円安は180円まで終わらないのか、それとも180円まで続かずに終了するか

NYダウに対するナスダック総合指数の相対株価は、2000年のITバブル以上のナスダック割高の動きとなっている(図表4参照)。これはAIブームや一部のテック株主導の株高が極端に行きすぎ、「バブル」になっている可能性を示すものではないか。

【図表4】NYダウに対するナスダック総合指数の相対株価(1990年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

そうした極端な行きすぎの反動が入り、株価の下落が急拡大するようなら、米国の利下げ加速により米ドル安が本格化する結果として、円安も循環的な限界に達する前、つまり180円まで続かずに終了し、円高へ転換する可能性はあるだろう。