東京市場まとめ
1.概況
米政権による関税政策への過度な懸念が和らいだことで、前日の米国市場で主要3指数が揃って上昇した流れを引き継ぎ、日経平均は344円高の37,953円と反発して寄付きました。ドル円相場も、150円台まで円安に振れたことで輸出関連株の買いを誘い、序盤は節目の38,000円を超え、堅調な推移となりました。しかし前場後半にかけては伸び悩み、戻り待ちの売りも出たことで上げ幅が縮小し、273円高の37,881円で前引けとなりました。
後場も上値の重さを意識した売りが重荷となり伸び悩む展開が続きました。13時33分に77円高の37,686円と本日の安値を更新するも、その後は持ち直し、最終的には172円高の37,780円で大引けとなりました。
新興市場では、東証グロース250指数が0.9%高と反発して取引を終えました。
2.個別銘柄等
ゆうちょ銀行(7182)は0.9%高の1,615円をつけ、反発となりました。国内証券が同社の目標株価を従来の1,500円から1,800円に引き上げ、これを材料視した買いが入りました。アナリストからは需給面での懸念材料であった日本郵政(6178)による売り出しが一巡し、また利益の面で日銀の利上げの恩恵を享受できるといった点が評価がされています。
セブン&アイ・ホールディングス(3382)は1.4%安の2,215.5円をつけ、3日ぶりに反落となりました。25日、カナダのアリマンタシォン・クシュタール(ACT)による買収提案に関して、「ACTの提案を拒否したという事実は一切ない」と発表し、これまで自社単独での経営体制の維持を目指していたと見られていただけに、方針が二転三転する等、経営陣の判断力の欠如を嫌気した売りが優勢となりました。
東レ(3402)は2.2%高の1,078円をつけ、続伸となりました。国内証券が目標株価を890円から1,270円に引き上げたことで、買いが入りました。アナリストからは2026年3月期までの中期経営計画で掲げる事業構造改革について、スピード感を持って実行しており、その効果が出ていると評価されています。
タイミー(215A)は17.6%高の1,793円をつけ、大幅反発となりました。国内証券が新たにレーティングを開始し、投資判断を最上位の「買い」に、目標株価を足元の水準を大幅に上回る2,430円に設定したことで、これを材料視した買いが入りました。
マルハニチロ(1333)は0.4%安の3,327円をつけ、9日ぶりに反落となりました。24日、2028年3月期を最終年度とする中期経営計画を公表し、最終年の2028年の営業利益は2025年見通し比で33%増の400億円を見込み、また投下資本利益率(ROIC)も2025年見通しの4.3%から2028年には5%まで引き上げるとしました。一方で、株価は連日で上昇しており、一旦の材料出尽くしと受け止められたことから売りが優勢となりました。
VIEW POINT: 明日への視点
関税政策の過度な不透明感が和らぎ米国株高となるも、日経平均の上値は重く日本市場ではそれに対する警戒感の強さがうかがえます。明日の材料は、今晩発表の3月のコンファレンスボード消費者信頼感指数があげられます。
市場予想は2月から4.1ポイント低下となる94.2が予想されており、消費マインドの減退が見込まれています。FRB(米連邦準備制度理事会)はハードデータを基に経済に過度な心配をしていない様子ですが、同指標のようなソフトデータの縮小が株式市場には重荷となる可能性があるでしょう。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)