【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 41,488.19 △674.62 (3/14)
NASDAQ: 17,754.09 △451.07 (3/14)
1.概況
先週末の米国市場は、主要3指数が揃って反発しました。米政権の関税政策による物価の上昇や景気悪化への警戒感から、前日までに大きく下落していたところ、主力株を中心に自律反発を見込んだ買いが入り相場を押し上げました。米連邦政府における現行のつなぎ予算に関して、上院民主党のトップも賛成の意向を示し、政府機関の一部閉鎖が回避される可能性が高まったことも投資家心理を支えました。
ダウ平均は、朝方から堅調に推移しました。米政権による新たな関税関連のニュースがなかったことも買い安心感につながり、674ドル高の41,488ドルと5日ぶりに反発で取引を終えました。S&P500株価指数は117ポイント高の5,638ポイントと反発、ハイテク株比率の大きいナスダック総合株価指数は451ポイント高の17,754ポイントで同じく反発で取引を終えました。
2.経済指標等
3月のミシガン大学消費者信頼感指数は57.9と市場予想63.6を大幅に下回る結果となりました。前回2月の64.7からも約7ポイント低下しており、足元の関税やインフレ懸念といった不確実性が消費マインドを減退させている様子がうかがえます。
3.業種別動向
S&P500の業種別株価指数では、全11業種が上昇しました。情報技術が3%以上上昇したほか、エネルギー、金融、一般消費財・サービス、コミュニケーション・サービスの4業種が2%以上上昇となりました。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄では、30銘柄中23銘柄が上昇しました。特にエヌディビア[NVDA]が5%以上上昇したほか、アメリカン・エキスプレス[AXP]とジェイピー・モルガン・チェース[JPM]、ゴールドマン・サックス[GS]の金融3社が3%以上上昇しました。スリーエム[MMM]、セールスフォース[CRM]、マイクロソフト[MSFT]、シェブロン[CVX]、アマゾン・ドットコム[AMZN]は2%以上上昇しました。一方で、ナイキ[NKE]が1%以上で下落し、ダウ平均構成銘柄の中では下落トップとなりました。
ダウ平均構成銘柄以外では、テスラ[TSLA]が中国でEVの生産コスト引き下げに取り組んでいると伝わったことで、3%以上上昇しました。半導体のマイクロン・テクノロジー[MU]も6%以上上昇となりました。ヘルスケア製品メーカーのアボット・ラボラトリーズ[ABT]は乳児用粉ミルクに関する訴訟を巡り、再審判断が下されたことを受けて2%以上の下落となりました。ドキュサイン[DOCU]は第4四半期決算を発表し、AI搭載の契約管理プラットフォームがけん引、市場予想を上回る利益となったことから14%以上上昇となりました。
5.為替・金利等
長期金利は、前日から0.04%高い4.31%となりました。17日朝時点のドル円は、148円後半で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
先週末の米国市場が、ハイテク株を中心に上昇したことから週明けの日本市場も上昇して始まりそうです。引き続き、米国の関税政策の不透明感から買いは続かないと考えられます。また国内では先週の春闘第1回回答集計では、前年比5.46%と現時点で昨年を上回る賃上げ水準が発表されました。日銀の政策金利引き上げが意識されれば長期金利は上昇する可能性があり、その場合には株式市場には重荷となるでしょう。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)