東京市場まとめ
1.概況
トランプ米政権の関税強化発言を受けて、日経平均は39円安の39,230円で寄り付きました。一方で米半導体株高を手掛かりとした買いが日本市場を支え、10時前に一時上昇に転じました。10時に27円高の39,298円をつけ本日の高値を更新するも、その後は再び下落し、10時33分には本日の安値となる275円安の38,994円まで下げるなど、10時台は荒い値動きとなりました。
その後は持ち直し、前場は161円安の39,108円で取引を終えました。後場は材料に乏しく下げ渋る展開となりました。39,100円近辺での推移が続き、最終的には105円安の39,164円で大引けとなりました。
新興市場では、東証グロース250指数が0.3%安で3日ぶりに反落となりました。
2.個別銘柄等
資生堂(4911)は一時2.3%安の2,307.5円をつけ昨年来安値を更新するも、後場に急伸し13.0%高の2,669円で4日ぶりに反発となりました。英投資会社のインディペンデント・フランチャイズ・パートナーズ(IFP)が同社株を5%強保有したことが明らかになり、株主還元や経営改善の要求が強まるとの期待から買いが集まりました。
サッポロホールディングス(2501)が6.7%高の7,899円をつけ、続伸で取引を終えました。投資ファンドの3Dインベストメント・パートナーズが同社の取締役会に対し、海外事業の減損損失をめぐる責任の所在を求めるといった書簡を送付したことを発表し、今後も同社に対する経営圧力がさらに強まるといった思惑から買いが入りました。
第一三共(4568)は一時3.5%安の3,494円をつけ昨年来安値を更新しました。トランプ大統領が、医薬品に関する追加関税を検討する考えを示したことで医薬品セクター全般に売りが出ました。武田薬品工業(4502)は1.0%安の4,182円をつけ3日ぶりに反落、アステラス製薬(4503)が0.9%安の1,463円をつけ4日続落となりました。
下水道等のヒューム管を扱っている日本ヒューム(5262)が一時9.3%高の1,918円をつけ上場来高値を更新しました。日本経済新聞が下水道管の老朽化が進み、「耐用年数を超える管路は東京―名古屋間を超える約380キロメートルに及び、今後20年間で12倍に膨らむ」と報じたことで、同社への製品需要が増えるとの期待から買いが集まりました。
王子ホールディングス(3861)は3.2%高の629.1円をつけ、続伸となりました。国内証券が投資判断を最上位に引き上げ、また目標株価も従来の610円から770円としたことが材料視され、買いが入りました。担当アナリストはパルプ市況が底入れし、回復局面に入ったとの見方から同社の2026年3月期以降の営業利益を上方修正しています。
VIEW POINT: 明日への視点
トランプ大統領の関税発言や日銀高官の講演があったことから、上値は重く様子見ムードの1日となりました。一方で、日経平均は底堅さもうかがえ、下値では買いが入る印象です。
明日の材料としては、2月に入って戻り歩調にある半導体セクターにおいて、日本時間本日夜間のアナログ・デバイシズ[ADI]の決算発表がマーケットに更なる好材料を示せるかに注目です。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)