現在のファンダメンタルズ:今週は、FOMCとECBの開催、ECBの追加利下げがユーロ/円への変動要素に
先週(1月20日週)の米ドル/円レンジ:154.761~156.748(マネックストレーダーFX のBidレート)
先週(1月20日週)の米ドル/円は1月20日のトランプ大統領就任式に始まり、1月24日の日銀会合の影響を受けた一週間となりました。
前者については何かサプライズがあるかもしれないと構えていた向きも多かったのですが、就任演説も就任後の大統領令等も、後から振り返ると想定範囲内であったと考えられます。直前に米紙に就任当日の関税発動は無いとの観測記事が出たことをきっかけに米ドル売りの動きが特に対ユーロで見られましたが、発動こそ無かったものの関税についての言及はあり、着実に公約実現に向けて動いていくであろうことは感じさせました。
メキシコとカナダに対して25%関税を2月1日から発動するというトランプ大統領の発言をきっかけとしたインフレ懸念から、一時的な米ドル買い戻しも見られました。しかし米10年債利回りが上昇しなかったことから短期筋のストップも巻き込んで、米ドル/円は週間安値となる154.761レベルをつけることとなりました。
その後は日銀会合における追加利上げが完全に織り込み済みとなっていたことから米ドル/円が買い戻されました。一方でユーロ/米ドルはじり高の流れを続けていくこととなりました。
日銀会合では0.25%の追加利上げが発表され、直後には156円台半ばまで買い戻されました。しかし声明に追加利上げの可能性への言及があり、植田日銀総裁の会見でも同様の趣旨の発言があったことで、一時米ドル/円は154円台に。とはいえ1月21日の安値はトライしきれず、その後は追加利上げのタイミングはすぐではないとの見方が広がり、156円台半ばまで急反転したものの、前日高値をトライしきれず。1月30日のECB(欧州中央銀行)理事会と1月28日・29日のFOMCに向け、米ドル/円は底堅いものの上値警戒感も残るという引けになりました。
今回のECB理事会では0.25%の追加利下げが、FOMC(米連邦公開市場委員会)では現状維持がコンセンサスとなっていて、結果としては日欧金利差縮小の流れが目立ち、これまで続いてきたユーロ/円の上昇に対して調整が入りやすくなるのではないかと考えています。テクニカルにはどうかについては、この後のユーロのコメントをご覧ください。
米ドル/円、週足ではサポートラインをトライする週に
長期的な判断は週足で行いますので、まずは週足チャートをご覧ください。
・上昇トレンド=週足終値が移動平均線の上にある
・下降トレンド=週足終値が移動平均線の下にある
トレンド転換の判断はダマシを排除するため、2週連続で移動平均線を上回るか、下回った時にトレンドが転換したという見方をします。
週足は2024年10月21日・28日週に上昇トレンドに転換して以降、終値と移動平均線の位置関係に変化は見られません。1月6日週を米ドルの高値として、米ドルの高値を切り下げる展開が続いていることから、今週(1月27日週)は2024年夏以降の上昇ウェッジの下側のサポートラインにローソク足が接してのスタートとなっています。(図表1)
今週(1月27日週)はサポートラインを維持できれば上値も重たいが底堅いといった先週(1月20日週)のような動きを繰り返すこととなるでしょう。もしサポートラインを週足の終値で下回ることになれば、更なる調整が入り、米ドル/円は先週の米ドル安値をトライする流れになっていくと考えられます。
週初の現時点ではどちらになるかわからないので週末を待つ必要はありますが、2024年末の年間見通しで書いたように、大統領就任式のある1月の米ドル/円高値が長期的な高値になる可能性も考えると、サポートラインの下抜けトライが無い場合でも、米ドル高トレンドに転じていく可能性は低いのではないかと考えています。
米ドル/円チャート(日足)、サポートラインを下抜けるタイミングとともにデッド・クロスが発生すれば、米ドル売りのチャンスか
短期的な判断は日足で行います。
・買いシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を下から上に抜くGC
・売りシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を上から下に抜くDC
日足チャートの判断では、短期的には1月15日のデッド・クロスの後、先週(1月20日週)前半に下げた後の上昇の動きで1月22日にゴールデン・クロスとなったことから、1月27日時点では買いシグナル継続です。ただ、2本の移動平均線のうち、終値移動平均線(青)が24日には下向きに転じてきたため、早晩デッド・クロスが発生する可能性が高くなっています。(図表2)
もし、週足のサポートラインを下抜けるタイミングとともにデッド・クロスが発生するのであれば、個人的には絶好の米ドル売りのチャンスになってくると考えています。
ユーロ/米ドル、長期トレンドはユーロ売り、短期トレンドはユーロ買いの方針継続
ECB理事会での追加利下げで米欧金利差の縮小を期待
今週(1月27日週)もユーロ/米ドルのチャートから見ていきます。
週足チャート(図表3)も日足チャート(図表4)も先週(1月20日週)から変化ありません。週足チャートは今後もしばらく変化は無いですが、日足チャートも1月16日にゴールデン・クロスとなりユーロ買いシグナルが発生したままです。
ただし、長期的にはユーロ売りトレンドが継続中ですし、今週(1月27日週)はECB理事会での追加利下げで米欧金利差の縮小も期待できるため、個人的には次のデッド・クロスを待って再度ユーロ売りを狙う方針は変わりません。
ユーロ/円は、ゴールデン・クロス発生でユーロ買いシグナルが継続中
ユーロ/円のチャートも見ておきましょう。
12月16日週に2週連続で週足移動平均線を上回って以降は、ユーロ買いのトレンドが継続しています。1月13日週にいったん移動平均線を下回りましたが、1月20日週には再度移動平均線を上回ったため、2週連続ルールとはならずに買いトレンド継続という判断になります。ただ、移動平均線に近い水準にいることから、長期トレンドはダマシが発生しやすい流れになっています。(図表5)
7月29日・8月5日週を起点としたレジスタンスラインとサポートラインによるトライアングル(三角もちあい)を形成中であることも、トレンドではなくもみあい局面入りとなってきたことを示しています。こうした場合には、週足チャートは参考程度にとどめ、日足チャートのみを見る方が良い場合が多いです。
日足チャートでは1月22日にゴールデン・クロスが発生したことでユーロ買いシグナルが継続中です。(図表6)
なお、ユーロ/円の動きはユーロ/米ドルと米ドル/円との合成であり、その時々で米ドル、ユーロ、円のどの通貨が主導しているのかを判断する必要があるため、常に3つのチャートを並べて判断することが重要です。
それでは今週も良いトレードを!